宵の船 - 2004年04月22日(木) 万象が眠りにすべり落ちるような春の宵、やわらかな風の彼方、三日月は浅い船の形で艶やかに横たわっている。隣で「きれいだ」と呟くのを聞けば何となく嬉しいような気持ちになって、息を吐きながら頷いた後、緑色のガラスを溶かしこんだ紺碧を見上げた。 真夏に中国へ行くための計画を練る。とにかく恐ろしく暑いらしい、日本で6月から暑気にやられてぐったりしているのにそんなところに行って大丈夫なのかと確認されるけれど、今更中止するわけにはいかない。 酷暑のせいもあるけれど、私は中国に対して元々わけのわからない恐れみたいなものを抱いていて、かなり腰がひけている。同行する友人は「アメリカに1人で行けるくせに、中国の何が怖い」と呆れつつ、珍しくびくついている私を心底面白そうに眺めている。 -
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