夕暮塔...夕暮

 

 

- 2004年02月17日(火)

日毎に夜が短くなって、玄関の靴箱の上、青い硝子の花入れにくるまれた菜の花が長ける。

私は些細な擦違いから親しい人にさようならと言いたくなって、寸前でその畏まった言葉を何とか退けた。窓の外がいかにもさびしげで透明な冬と春のあいだの暮色に染まるので、その他人行儀な別れを圧し留めることが難しいのか、水鳥の羽一枚のように軽いのか、わからなくなってしまいそうになる。私の肺にもうひと息ぶんの空気が残っていたら、もしかして現実になっていたのかもしれなかった。


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