夕暮塔...夕暮

 

 

時を静めて - 2002年11月04日(月)

月は深く身をひそめ暗き二十九夜 きみの声もなく時を静めて




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鳴らない電話もいとおしい。今日は誰とも口をきかないで過ごす日かな、などとおぼろげに思っていると、なぜだか知らないひとに話しかけられたりする。夕暮れ時、郵便局の警備の男性がにこにこして言う、「今から、あちらの方に行かれますか?」
「…いえ、この道をまっすぐ、」
そうですか、いやあ残念。今あそこのビルの横にこう、すらっと見えますでしょう、あの影が富士山なんです。あっちのバス停からなら、全体がきれいに見えるから。……
ろうたけた西日の中にくっきりと灰鼠色のなだらかな影。ああ、そうだったんだ。富士山の姿ならマンションの階段からでも見える、だけど、あのバス停から見えるなんて知らなかった。もう何年もこの街に住んで、晴れた日に幾度もバスを待ったのに。



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