uchie◎BASSMAN’s life

My追加

2005年07月10日(日)
■ロンドン4日目

ライブが終って機材を片付けたり着替えたりしてるうちに、フロアでは土曜の夜恒例のDJイベントBLOW UPに様変わりした。このイベントも楽しみのひとつだった。モッズに興味がある人ならこのイベント名は聞いたことがあるかもしれない。少なからず東京の60s系のイベントもこれをお手本にしてるはずだ。
僕はBARカウンターでドリンクチケットをビールに変え、ビンを片手にフロアに流れ込んだ。
選曲は東京のものとほとんど変らない。60sのビートバンド、ソウル、リズム&ブルース、そして90年代以降のUKロック。だから決してこのロンドンのCLUBに対して羨望の眼差しではなく、僕にとってこれは日常。この曲はこうやって踊るんだぜ!って感じで思いっきり踊った。そうしていると回りの連中も意識してきて3〜5人ぐらいで輪になって踊りまくり。しかし演奏もダンスも負ける気はしないけど、身長はさすがに負ける。こいつらみんな180cm以上あるんだ。フリークの中では一番背の高い僕でもここではチビだ。大きい鏡に映った自分を見ると子供みたい。よく酒売ってくれたもんだな。たぶん東洋人は若く見えることをよく知ってるんだな。
曲の中で“〜YOU!”なんてのがあると、そのタイミングで近くにいるやつに目を合わせて指を指したりすれば向こうも答えてすぐに仲良くなれた。でっかいやつと肩を組んでぐるぐる回って馬鹿騒ぎ。
あるやつに“なあ、あの子かわいいと思うんだけど、どう思う?”って言ったら、
“きみさっきのバンドのベーシストだろ?大丈夫だよ!いっちゃえいっちゃえ!”というので、調子に乗ってナンパ(?)してみた。
ちょんちょんと彼女の肩を叩き、耳元で“ハーイ!uchieで〜す!”みたいな。ボーイフレンドと来てるみたいだったからちょっと話しただけだけど。大体英語ほとんど話せないからウケねらいだ。

なかにはフランスから来たバンドマンでフリーク目当てで来た連中がいて、音楽の話をした。60年代の中でもオルガンサウンドがいいね!という話の合う連中で、スモールフェイセスが一番好きだということも共通していた。お互い年齢を聞いてびっくりした。向こうはまだ10代。僕の歳を聞いて“うそでしょ?!すごい若く見えるよ!”って言うから“だってオレ、ロッカーだもん!”って言ったらすごい喜んでた。やっぱりそうだよね〜!って感じで。
そんなやりとりしてたら“I'm a man”がかかって、僕らは一緒に踊って歌った。こういうの大好きという気持ちが間違いなく通じ合った。サビのところではみんな同じような動きに。

踊り疲れたときにバーカウンターのとこに行ったら、他の女の子とは違った感じのこ達がいるのに気がついた。ロンドンっ子はみんな派出な感じなんだけど、その二人なんか人種が違うような。
気になったので、いや、というよりかわいかったから、話しかけてみた。
フライヤーを差し出して、東京から来てさっきここでライブやったんだ、ということを伝えた。しかし僕の耳元で話す彼女の英語のイントネーションは実に巻き舌が強く聞き取るのが大変だった。しかも声が甲高い。スウェーデンから来たということだった。どうりで北欧系な顔立ちだ。色白で金髪。コンピューターミュージックが好きだと言っていた。YMOは知ってるかと訊いてみると、もちろん知っていると。さすがYMOは世界中で有名なんだな。

そんな感じでイベントの終わりまで楽しんだ。

帰りは4時半頃だったか、バスを探して乗った。ロンドンでは深夜も2階建てバスが走ってるのだ。
宿に辿りついて、シャワーを浴びてから寝た。
起きたのは11時頃。
ライブも終ったので街をぶらついてみることにした。

バスに乗ってカムデンへ。
すごいところへ来たもんだ。ここはロンドンでもカーナビ−の辺りとまったく違う。東京で言えば高円寺みたいな。通りに洋服屋やら雑貨屋やらごちゃごちゃと密集していて、なんだか全体的にインチキな感じ。
屋台がたくさん並んでるところでは、いろんな国のひとがその国の料理を出していた。これが本当にすごく旨そうでたまらなかった。どれを食べようかと迷っていたが、ここで食べる訳にはいかない理由があった。
ロンドン在住経験のある友達に“ロンドンへ行ったら絶対にフィッシュ&チップスを食べてみて!”と言われていたのだ。そういう約束は守る方なのだ。しかし我々の空腹もそろそろ限界に。なにしろもう25時間以上食べていなかったのだ。
ライブハウスBAR FLYの前を通って少しするとやっとフィッシュ&チップスの店を見つけることが出来た。もう午後4時ぐらいだった。つまり26時間ぶりの食事というわけだ。僕らはひとりひとりフィッシュ&チップスを注文した。
マスターが持ってきた皿を見て驚いた。大きな皿に、フライドポテトの山盛りと大きな魚の一切れのフライ。軽食のつもりが、どう見てもポテトが主食で魚がおかず。これだけ。これぞブリティッシュ!
ひさしぶりの食事にナイフとフォークでさくさくと食べ始めた。これは日本では食べられない味だ。魚はタラだそうだ。ころもが厚くカリっと揚っている。それにしてもでかいのだ。食べ甲斐がある。
しかし半分も食べた頃にはだんだんこの味に飽きが…。それでもどんどん口に運んでいく。これぞイギリス。ひとつも残さずたいらげ、お腹いっぱいになった。

店を出てまたいろんな店を見てみた。家具の店がたくさんあった。ひとつだけミッドセンチュリーの店があって、入ってみるとこれは欲しいなと思えるアクリルのテーブルがあったが、とても高くて買えなかった。
その近くに60sファッションな洋服店があって、襟の大きいダブルのコートとかあってすごく欲しかった。店の前には、サイケデリックにペイントされたビンテージカーがあってスウィンギンな気分を味合わせてくれた。
小さな雑貨屋では駄菓子屋によくあるような入れ物の中に、生のマジックマッシュルームが入れて売られていた。どんな匂いがするのかと思い、嗅いでみたら強烈な匂いでむせ返った。お店のお兄さんが笑っていたよ。それにしてもこのキノコでマジックマッシュルーム丼とかバーベキューとかやったら楽しいだろうなあ、と想像してしまった。

駅の方に戻ってバス亭の辺りにいると、何やら黒人のブラザー達がいて話し掛けてきた。
“ヘイ!ヤパン。マリファナ売るよ。ヤパン、こっち来なよ!”
日本のことヤパンっていうのか黒人の間では。
今度はリバプールストリートへ行った。
インド系の店がたくさん並んでいて、また変った光景だった。気がついてみるともう夜8時頃。まだ明るいので時間の感覚を忘れてしまう。どうりで閉まってる店が多いわけだ。このあたりはスラム街のように見える。
しばらく歩くとビアガーデンがあって、実に多くの若者が集まっていた。ロンドンは本当にいろんな人種がいる。日本人もいくらかいたようだ。地元の人はこういうところで楽しんでいるんだな。小さな路地に200人ぐらいがたむろしてビールを飲んでいる。

もうとっくに夕食の時間だが、さっきのフィッシュ&チップスが効いていて食べずに宿へ戻った。