uchie◎BASSMAN’s life

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2005年07月07日(木)
■ロンドンへ出発

昨日の仕事が長引いたので、真夜中から荷造りをした。
ベースのハードケースは今回この為に新しく購入した。楽器を飛行機で運ぶのは初めてだから、どんなケースがいいのかいろいろ調べた。



しかし最近寝不足で疲れていたので、こともあろうに準備中眠ってしまった。目覚ましをかけておいて良かった。それにしても大慌てでスーツケースに荷物を詰め込んで、午前5時半、僕は出発した。
新宿でメンバーと待ち合わせ、成田エキスプレスで成田空港へ向かった。
出国の手続きを済ませると、もうみんなすっかりハラペコで食事をとることにした。空港はなんでも物価が高い。
「なんにする?」
「松屋行こう!松屋安い!」
と僕は冗談で言ったが、あったのはとうてい我々フリークには似合わない不二家だった。
「これからUKでライブやるフリークが不二家かい?」
笑っちゃうけど、僕らはカレーが食べたかった。
航空機は費用の節約で香港経由のキャセイ・パシフィック。エコノミーだから狭いし立派な設備ではなく観光バスみたいだ。スチュワーデスはおそらく香港人。そこがまたワールドワイドな気分をさっそく感じさせてくれた。
ロンドンへ行くついでに香港にまで来てしまった。空港から見える高層マンション群には驚いた。
得した気分だが、たかだかライブ会場へ向かうのにこんなところにいるなんて、自分達がやっているスケールの大きさを痛感し始めた。東京でのライブなら電車で30分から1時間だ。きょうもたくさんのバンドがいろんなところでライブをやる。そのうちのひとつに過ぎないのに、あまりにも僕らの想いは大きい。年齢的にもライブシーンでの位置でも常に崖っぷちで、自分達の表現の為ならどんなことでもやらなければならない覚悟だ。
香港からヒースロー空港までがまた長かった。1万メートル上空でいろんなことを考えた。
このまま墜落したらどうなるだろうか?
もしそうなっても、なにがなんでも3人で助からなければ、とか。
僕らは結成して1年でもうこんなところにいる。嬉しかった。全ての運命を共有しているんだ。
大きな大気の中に比べればちっぽけな空間のこの飛行機で、アジアを越えロシアを越え地中海を抜けた。
途中寝ては何度も起きた。おそらく空は寒いんじゃないかと、MERCのジャージを持ちこんで良かった。機内食が妙に旨くそして特別に感じた。ちょっとした英語でのやりとりも新鮮だ。
ヒースローに着く前、隣の席に座っていた日本人の男が話しかけてきた。カメラマンで感じのいい人だった。何度も仕事で渡英していて、英語は得意なようだ。
飛行機が少しずつ高度を下げると、ロンドンのきれいな町並みが見えてきた。東京の灰色で雑然した感じとは全く違う。茶色い屋根のが無数に列を組み、オトギの国へやって来たようだった。
無事滑走路にタイヤが着き、いよいよ来た!これがビートルズの国だ!と歓喜したそのときだった。
隣の席の人がアナウンスを聞きとって、こう言った。
「ロンドンで同時多発テロが起きて、死者が出ている…、市内では交通機関が全面停止…」
僕らは呆然とした。いったいどうなるんだ。
街はメチャクチャに壊されているのか?
もしやヒースローもこれから攻撃されるのか?機を降りたらテロリストに銃口を向けられ囲まれるのでは?