ついに自分で乙女ゲー買っちまいました(笑)。 最初は店頭で見かけた『華ヤカ哉、我ガ一族 キネマモザイク』を購入したんですが、これが続編であることに気づいたのは家に着いてからだった。 そしてあわててネットで『華ヤカ哉、我ガ一族』を購入しました。 実はプレイし終わって2ヶ月経ってるんですが、いろいろ多忙で感想も書けなかったので、今更ですが書いてみたいと思います。 いやあ、いいですね、大正浪漫。 『はいからさんが通る』を愛読していた小学生時代からこの時代にはちょっとした憧れがございました。 あの時代独特の新旧&和洋入り交じった感じ、いいですね〜。 しかも和も洋もアンティーク(現代人から見れば)、美しいですね〜。 舞踏会とか鹿鳴館ばりのドレスが現役だった時代ですからね〜。 しかーし、美しき面もあれば厳しき面もあるのが時代といふもの。 主人公は貧農の娘、小学校卒業後は工場で働いており、今は病気の父に代わり家計を支えるため職さがし中…というところから物語はスタートする。 で、日本屈指の大財閥、宮ノ杜家での使用人の仕事が見つかり、そこにおわす綺羅綺羅しいご兄弟、正・勇・茂・進・博・雅と出会うわけだ。 こうして主人公の使用人としての修行と攻略の日々は幕を開けるのであった…! 本作の特徴はなんといっても「極端なツンデレ」。 ただでさえ気位高く気難しい攻略対象達ですが、そこに身分違いによる差別意識が加わり、出会いの段階では「人と人」ですらない状態。 厳格タイプの兄弟からはまず人間扱いされないし、気さくなタイプ・優しいタイプ兄弟でもそこにははっきりとした壁がある。 その壁を越えていくのだから、現代劇では実現し得ない超ツンデレですね。 この見下し様が徹底していて、いっそ気持ちいいくらいだ。 別にわたしはMではないが、中途半端に「身分の低い者にも優しいご主人様」みたいのよりは不思議と好感が持てました。 そのくらいやった方が現代物との差別化が出来て、物語世界にきっちり入り込める気がします。 このゲームは、文章をめくることで話が進行し、時々選択肢を自分で選ぶことで好感度が変化していくアドベンチャーゲームなわけですが。 ドジって叱咤されながら、それでも少しずつ成長していく主人公はなかなか微笑ましいです。 が、身分の壁を越えて惚れられる程の魅力とまではいかないような…。 田舎者で職務経験もない主人公が、それでもこのツンデレ兄弟達に気に入られる過程、これにもう少し説得力を与えるようなエピソードなどが欲しかったな、というのが正直なところです。 何かこう、主人公ならではの機転で皆の助けとなるシーンとかね。 でも、話自体はなかなか面白く、気付くとどんどん進めてしまいます。 一人クリアしても事件の全貌は明かされない。 そのため、飽きることなく次の攻略に取りかかれます(笑)。 この作品の特徴をもうひとつあげるとしたら、それはお母様方の存在が大きいことでしょうか。 兄弟全員お母様が違っていて、しかも全員正妻で、しかもそのお母様のご実家が大きく関与するという物語構成。 兄弟ご本人達だけだと性格と職業の違いしかないが、そこに母の実家というバックボーンが加わることで「家格」という身分差が兄弟間にも生じます。 「家」というものの存在が大きい時代だからこその面白さですね。 まあ、現実にはあり得ない家族構成ですが、物語としてはなかなか楽しめる感じになっています。 絵もおおむねカッコいいんじゃないでしょうか。 デッサンが何だか不安定なのが残念ですが。 しかし服や髪型の種類が豊富なのには驚きました。 和服から洋服から燕尾服もあり、軍服や警察官の制服もそれぞれ複数、私服も夏服と冬服があって冬の外出時は外套を着たり。 しかもシチュエーションにあわせて髪型まで変わる。 一方、お母様方の服が着た切り雀なのが残念でしたが。 着替えたのは家寿田のお母様の芸者姿だけ。 1着増やすのも大変な労力だろうとは思いますが、夜会の席に普段着で出席って、やはり変じゃないですか? いくら理由つけても。 ヨシ様の盛装とか見てみたかったのに。 あと絵で残念なのは、主人公が微妙に可愛くないこと。特に横向き。 ドレスアップするエピソードもありますが、皆が別人と思い込む程の変身っぷりとはほど遠いようなー。 普段主人公の姿は画面に出ないのであまり気にならないと言えばそうなんですが、スチルが表示されると「うーん…」と思うことしばしば。 MAP上の二頭身の主人公が一番可愛く見えます。 では、登場人物(とお母様)について一言ずつ。 長男・正。良くも悪くも良家の御曹司の決定版。厳しくプライド高く威圧的。主人公に「解雇だ」コールをしたのも雅の次に多いと思う。そして雅の「解雇」が言ってるだけで力がないのに比べると、この人のは現実味が伴うのでちょっと緊張する。主人公とは「速水真澄と北島マヤ」より年齢も身分も隔たりがあるが、真澄がマヤの凄みに魂を揺さぶられたのに比べると、何で正が心引かれたのか今ひとつわからん。厳しかった正様が優しさを垣間見せてくれるようになる過程は良かったですよ。声優さんには詳しくないですが、ビミョーにオッサンくさいしゃべりがツボでした。 母・澄田サナ枝。新興財閥である宮ノ杜家を見下す旧家のお嬢様。地味な着物が逆に由緒正しさを醸し出しています。宮ノ杜に限らず自分と自分の家以外のすべてのものを見下しておられます。ドラマや小説にもよくいる「怖いお母様」そのまんま。 次男・勇。厳格で気位高いのは正と同じだが、そこに国粋主義が加味される。主人公の粗相に対しては「解雇」ではなく「斬る」が決まり文句。しかし髪型が…いや、髪型自体はいいし、別にゲームキャラに「陸軍らしくしろ」などとは申しませんが、ちょっと軍帽が似合ってないような…。それを除けば見た目は一番カッコいいと思う。親を名前呼び捨てするのが厳格な軍人らしくない気もするが。白雪姫のエピドードはお腹が痛くなる程笑いました(笑)。 母・本条院トキ。洋装とボブカットの似合うモダンな婦人。厳しく上下関係をきっちりさせる面もあるが、人柄を知れば一番付き合いやすい人かもしれない。よくお母様方の諍いの仲裁役になっているし。 三男・茂。わたしが個人的に一番苦手な「遊び人タイプ」。苦手というか…興味がわかない。よって攻略も少々面倒くさい…。人柄は、使用人である主人公にも優しいし、生活がいい加減だから厳格さに気を使うこともない。女装の芸者姿は…「女と見まごう程美しい」ことになってるが〜…、やっぱ首太いね(笑)。 母・家寿田静子。料亭の女将で人柄は良い。良家お母様のような怖いところもなく良き相談相手タイプ。でも「芸者ごときが」と言われるたびに「な、何やて!?」と血相変えて怒るのはどうか。一流の芸妓ならそのくらいの中傷は粋にスマートにかわして欲しいもんどす。 四男・進。まじめで優しく礼儀正しい。公務員という堅い職業にも就いていて、この兄弟の中では一番まともな人材といえる。…と最初は思ったが、本質が判ると、ちょっと…。何でしょう、あの慇懃さと投げやりな冷たさは。心が冷えましたよ、マジで。正も勇もこれに比べりゃなんと人間味あることか。ラストでは精神的にも安定していましたが、ちょっと…こういう人は怖いです。 母・有吉文子。とくに家柄も経済力も何もない庶民の女性。というか、かなりうっかりな性格で、普通以下にも見える…。ドジなはずの主人公がしっかり者に見えます。せっかく唯一の庶民女性なのだから、庶民らしい雑草のような強さを持っていれば良かったと思うのですけど。 五男・博。兄弟の中で一番明るく、人なつこいタイプ。初回やった時は好感度パラメータを全く意識していなかったのですが、この人のコースが自然に一番に開きました。進路や洋行の考え方など19歳にしてはちょっと子供っぽい気もしますけど…まあ、あの特殊な雅を除けば一番年下なので、実質一番わかりやすい弟タイプという位置づけになっているんでしょう。まあ、明るいし、好きですね。 母・佐伯ヨシ。華族のお嬢様で、お父様は首相という、もっとも政治的意義の深いお家柄。ヨシ様自身も婦人参政権運動をされていて、ことあるごとに「女だからといって」論になるあたりがちょっとズレてて面白い。そこを除けば人格的にはバランスがとれているように見える。見た目も華があるし、わたしは好きだ。 六男・雅。厭世的で家でフリルブラウスを着ちゃうような耽美な少年。少女漫画の中にしか棲息してないタイプ。気難しいだけでなく人を傷付けるのが趣味なトンデモないやつだが、6人の中では一番天才肌らしく最終的に有能と判断されたようだ。確かに物事の洞察力はあるらしいが、コミュニケーション能力がアレじゃあ、財界は渡っていけないのではあるまいか。博とは別の意味で非常に子供っぽい。まあ、後半はなんだかんだ主人公に気を使って可愛い所もあるんで、決して嫌いではないですが。 母・伊村千代子。母親には見えない儚げで可愛らしい容姿。性格もはんなりしていて、京都弁がよく似合う。が、母の自覚はゼロ。雅に気を使いすぎる反面、実は「雅が嫌い」…とのこと。この人こそ大人になって欲しいもんどすなあ。 ついでに他のキャラについても。 杉村たえ。使用人仲間だが、これもツンデレ(笑)。まあ、口は悪いけどすぐにいい人だとわかる。気が強く、主人公を突き放すようで親身になってくれるしっかり者。ただ、わざと違った日時を教えるのだけはどうかと…。仕事に関わる連絡事項は正確に伝えてもらえないと。 千富。使用人頭。主人公を拾ってきた人物でもあり、まあ、使用人達をまとめる中間管理職ですね。厳しくも公正な目で主人公の成長を見守る有能な人物。マクゴナガル先生のような「この人さえいれば」的安心感があります。 最後に主人公。 まあ、昔からわたしは主人公視点で物語を楽しめる能力にだけは自信がありまして。よほど馬の合わないキャラでない限り、嫌いにはなりません。今回も問題なく主人公と一緒に大正浪漫の世界を満喫致しました。ただ、「変わった使用人だ」と時折言われていて、そこが彼女の魅力とされていた節がありますが、特に個性が際立ったタイプには思えなかったですが。普通に頑張り屋で、普通にドジも踏む、普通の主人公だったんじゃないでしょうか。 この時代の使用人の扱いがどうだったのかはよく知りません。てか、もう現実のそれを知っているのは戦前を生きた世代だけでしょう。現代の家政婦さんとは根本的に違うわけだし。昔の小説や映画などにはよく使用人や奉公人が登場しますが、宮ノ杜家のような扱いの家はちょっとあまり無いような(笑)。ま、この辺はその家によっても全然扱いが違うかもしれないですね。宮ノ杜家はずいぶんと厳しい類だったのではないでしょうか。 まあ、ともかく時代設定だけで5割は楽しめた作品でした。 数字がほぼ漢数字なのがちょっと読みにくかったですが。 しかも壱とか伍とか(笑)、なぜ日本人は画数の多い漢字の方が格上だと思ってるのだろう(笑)。 これでやっと最初に購入した『華ヤカ哉我ガ一族―キネマモザイク』に取りかかることができます。 今度は喜助モードなどもあるようなので楽しみです。
|