忘れていましたが、お正月に実家に帰った時、『崖の上のポニョ』を見ました。 実家妹がかなり前に録画だけして放っておいたものだが、せっかくなら見てみるか、と再生してみた。
結論からいうとー。 残念な感想しか語れません。 TVの前で妹達とツッコミながら見ましたが、映画館で一人静かに見てたらかなりしんどかったかも‥‥。 夏頃見た『アリエッティ』が普通に良かっただけに残念です。
「話がない」「完全子供向け」というのは前から聞いていましたが…。 確かに大人が楽しめる作品ではない。 でも、子供が楽しめる作品かっていうと、それも疑問(大人の方がまだ我慢して見られるんじゃ‥‥)。 自分が5歳児だったら絶対プリキュアだかポケモンだかの方が見たいと思う。
この作品にはいろんなファンタジー要素があるが、それについての解説は一切ない。まあでも、その点は別に良い。 話に起承転結なくても、不可解な要素が各所にあっても、それが結果的に作品を面白くしてくれるのならば。 でも、面白くない。 説明不足な不思議作品って、普通の人にはただ退屈です。 「これはこういう解釈なのだー」と難し〜く理解しようとする人には高く評価されるのかもしれませんが。
各キャラ描写についてもですねー。 まずポニョが‥‥。か、可愛くない‥‥。 人面魚→人間への途中形態ががなり妖怪チックですが、人間の形になっても、なんかこう、下品というか‥‥。 幼児に気品を求めてもしかたないかもしれないが、宗介に比べると格段に野性的だ。 ついさっきまでお魚だったのだから、という理由もあるけど、母親がそこらの人間よりずっと優雅で上品である事を思えばあまりそれも説得力がない。
一方、宗介はいいですね。 優しく思いやりがあり包容力もある(5歳児なりに)。 ジブリ作品にこれまでも登場してきた王子様タイプの男の子、その幼児版という感じ。 ひとつだけ「?」と思ったのは親を名前で呼ぶ点であるが‥‥。 しかし5歳時点での生活習慣は親から教わったものだろうから、この件は親の責任ということになる。
この親が〜。リサという母親ですが、作中わたしは一番苦手でした。 あれって「今時のカッコイイ母親」なんでしょうか? 子供に名前で呼ばせるのはなんで? 既成概念に捕われないフランクな親子関係を演出? 海水に浸かっている道路を車で突っ切るシーンもあきれた。 なんだかアクションシーン入れたかっただけに見えるんですが、アクションシーンはそれをしなくてはならない切迫性があって初めてドキドキするものだ(渡らないと命がない!とか、守るべき人があっちにいる!とか)。 それがないのに無理に突き進むのは、ただスリルを味わいたいだけの危険な人か、カッコ良さを演出したいだけの変な人に見えます。 ポニョが家にやってきた時にも、驚いたそぶりも見せず、保育園の友達を連れてきたかのようなナチュラルな対応でポニョを受け入れる。 「えっ!?この子はいったい?」なんて常識にとらわれた反応をしているようではカッコいい母親失格ってことか。 一瞬驚いて、そのあと受け入れるのならまだわかる(共感できる)んですけど。
その他のキャラ、ポニョの父親とか母親とかはよくわからん存在で説明もないが、それはもう良い。 母親が海中を泳ぐ姿はなかなか斬新でした(お腹側を上にして進むとは)。 施設のおばあさん達についてはあまり印象に残っていません。
そして絵。 他のジブリ作品だと、ストーリィが気に入らなくても絵を見る楽しみだけは絶対に保証されていた。 CGアニメも好きですが、やはりセルアニメにはセルアニメにしかない色の美しさ・動きの表現があると思います。 背景美術もジブリのそれは他に類を見ない圧倒的な美しさで観客を作品世界に誘う力をもっています。 が。 今回、その作画に違う方向性を試されたようで‥‥。 際立って違いがあるのは背景ですが。 フリーハンドで書いたような建物や色鉛筆のような彩色。 これが別個のイラストだったら綺麗で可愛いと思えたでしょうが‥‥。 セル画の人物と馴染まないような。 『日本昔話』のような人物デフォルメならばラフな感触の背景画にも馴染みますが、宮崎駿キャラはそういう種類のデザインではないように思います。
セル画にしても、各所で色トレスを使っていない。 静かな波紋も幻想的なクラゲの輪郭も、なぜか黒い実線。 素朴な感じを出すためにあえてやってる事、らしいですが、わたしの感覚では「美しく見えん‥‥」。 動きは文句なく素晴しいんですけどね‥‥。
以上、文句ばっかたれてきましたが、わたしは本来、ジブリ作品が好きなんですよ。 日本の誇りだと思ってます。 でも、誇りと思えない作品もいくつかある。 ジブリ作品でここまで文句ばかり書いたのは初めてだ。 『魔女の宅急便』でも見て癒されよう‥‥。
|