WOWOWで7月から始まったアメリカのドラマ。 太平洋戦争中に南の島々で戦った若き米兵を描いたもので、全10話ですが、大変な力作です。 200億という大作映画並みの制作費を投じただけあって、すさまじー迫力だ。 太平洋での激戦が容赦なく、ホントに容赦なく描かれます。
太平洋戦争の話なので、当然敵は日本兵。 が、『パールハーバー』とかの創作系日本軍(?)とは全然違って真面目に描かれていると思う。 日本語はちゃんとネイティブの発音してるし、小道具や服装(褌とか)も違和感なし。 倒れた日本兵の荷物から手作りのお人形を見つけるシーンは、敵にも家族はいるのだと認識させるものです。 日本兵をことさら悪役に描いているわけでもないし、米兵をヒーロー的にも描いてるわけでもない(英雄に祭り上げられ宣伝活動させられる人はいるが)。 もちろん祖国のために過酷な任務に就いた兵士達を讃えるための作品ではあるが、単純な「正義のヒーロー万歳」という方向ではありません。 そしてその反面、米兵・日本兵とも、醜く汚い部分もしっかり描かれてる。 日本兵の死体から金歯を盗む米兵。助けてくれようとした米兵を道ずれに手榴弾で自爆する日本兵‥‥。 卑劣で野蛮な実情を見せつけます。
物語はガダルカナルの激戦からはじまって、ぺリリュー(パラオ)、硫黄島、沖縄と、話数が進むごとに前線が日本本土に迫っていきます。 まー、ここで繰り広げられる戦闘の凄まじいこと。 本当に辟易するくらいの激しいさだ。 浜から上陸して匍匐前進で進むんだけど、折り重なる死体の上を這っていくからどれが生きててどれが死んでる身体か区別がつかないくらい。 死体や怪我人の描写もかなり凄惨。 腕は飛ぶ、内蔵は露出してる、ウジ虫は湧く‥‥。
しかし、同じ戦争を描いても、視点を変えるとずいぶん印象が違うものですね。 日本の8月15日あたりにやってる終戦ドラマだと、疲弊しきってる日本兵を余裕シャクシャクの米兵がチューインガム噛みながらたたき潰す、みたいなイメージもってたんですけど、ここで描かれる日本軍はなんだか妙に怖くて強い存在。 なんか、けっこう‥‥米軍苦しめてるというか、思ったよりか互角に戦ってません?我らが日本兵。 ジャングルの中、闇夜に乗じて切り込んでくる日本兵達はかなり怖いっす。 しかも数が多くて、機関銃で撃ち殺しても撃ち殺してもゾンビのように湧いてくる。 命の無駄遣いっぷりをしっかり見ることができますよ。 火炎放射器浴びせられても何しても絶対降伏しない日本兵。 ヨーロッパ戦線の兵士と太平洋戦線の兵士では帰還後の精神状態が全然違っていたそうですが、若い米兵達の精神がどれだけ追いつめられたかがよく描かれています。 こういう視点はやはり米国ドラマならではですね。 日本の戦争ドラマ(終戦ドラマ)ももうちょっと‥‥。 お涙頂戴シーンの連続で「反戦」訴えるのもいいけどさー。
まあ、でも、やっぱ米兵の方が恵まれてるよね。 前線の悲惨さは同じだけど、基地に帰れば食べ物はあるし、清潔な着替えもあるし‥‥。 日本兵の戦記物というと、敵との戦闘より飢えとの闘いの方が印象強い気がする。
米側と日本側、どっちのも完全に公平に書かれているかというと、それはもちろん米兵の方が良く描かれています。でも、それはしかたない。 これはアメリカを守った海兵隊を偲んで、アメリカの会社が制作費出して、アメリカの視聴者のために作られたドラマなのだから。 日本人の満足のいくドラマが見たいなら、同じだけの制作費出して同じクラスのスタッフ揃えて、日本人が作るしかない。
ちなみにここには3人の主人公が出てきますが、わたしが一番好きなのはユージーン・スレッジです(笑)。 日本の女子に人気ありそうな優しく綺麗な王子様タイプですが、この美少年が最悪の戦場で傷つき心身ともにボロボロになってゆく様が印象的だった。 戦闘がひどくなるに連れどんどん顔つきが変わっていってしまって、まわりの戦友達も心を病んできて。 最初やなヤツに見えた戦友スナフが、最後には一番まともに見えました。
ともあれ。 総制作費200億を描けたこの大作。 テレビドラマなのにまるで映画みたいだった。 全10話、あっという間でした。 しかも字幕と吹き替え両方見た。 字幕だと意訳になりやすいから、という理由もあるが、二度くらい見ないと戦況が把握できないシーンが多かったので。
明日、ユージーン・スレッジの原作を買ってこようかと思います。
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