わたしは『魔女の宅急便』までの比較的初期の作品のファンでございます。 巨匠になってからの宮崎駿作品にはいまひとつ追いつけない部類の観客です。
が。この『アリエッティ』は宮崎駿以外の若手監督を起用したとのことで、そのあたりに期待した。 近年のジブリ作品は、よくも悪くも作家性が強すぎると考えていたため。
で、見た感想。 絵も美しいし、話も可愛くちょっと切なく、とても良かったと思います。 少なくとも近年作品に少なからずあったような「?」な部分は皆無です。
まず小人の生活が見て楽しい。 人間の生活用品を「借りて」きて、自分達サイズに直して活用する工夫の数々。 植物だらけのアリエッティのお部屋、ドキドキするような人間の屋敷の中の探索。 ポットのお茶は表面張力でまるまるとしているし、映像として見る楽しみにはまったく事欠かないです。 そうやって慎ましく一生懸命暮らす小人達に訪れる危機。 人間に見つかったら(見つかりそうになったら)引っ越さなければならない切実さ。
作中印象的だったのが、翔のよけいな善意。 心臓病を持つ優しい少年で、最初にアリエッティ達小人の存在に気付く彼ですが、角砂糖を置いたり、ドールハウスを提供したりと、小人のためによかれと思ってやってるのだろうけど、その好意がどんどん小人達を追いつめて、しまいには去ることになってしまう。 人間の独りよがり厚意って案外こんなもの‥‥と考えさせられた。
この翔とアリエッティの出会いと別れが物語の軸ですが、この異種族同士の接触はいわゆる「マイノリティ」の厳しさと逞しさを描いているのかな。 まあ、わたくしはそのようなテーマはさておき、滅びそうな種族の少女と命の消えそうな少年が心を通わしてゆく様がよかったなーと単純に思います。
全体的にはこぢんまりまとまった小作品という感じで、大作のような大感動とかはありません。 劇場へわざわざ行くほどの作品かどうかは判断が難しいところですが、 逆に映画館でいい音響で見た方が楽しめる部分もあります。 人間の出す音(寝返りの布の音とか、台所の雑音)が小人モードで響くようになっているので、これは家のTVだとわかり難いかも。
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