「銭のためならなんでもするズラ」というキャッチコピーを見た当初、「このドラマだけは絶対見ない」と心に誓ったものだ。 なのに何を思ったか第1話を録画してしまいました。 そして見てしまいました。 で、これがすごーくアタリでした。今期のドラマの中ではダントツの質の高さです。 以下、第4話現在までの感想です。
主人公・風太郎(松山ケンイチ)は派遣労働者。その生い立ちは貧しく、父は働きもせず暴力を振るい、優しい母は病に倒れ…。 と、文字で書くと定番の貧乏設定って感じなんですけど、これを丁寧に描いた第1話の脚本&演出が秀逸で、見ていて話の中にぐいぐい引き込まれました。 派遣切りの嵐が吹き荒れる現在と、貧乏ゆえにつらい思いをした生い立ちが交互にオーバーラップするように描かれて目が離せなかった。 そしてこの脚本を充分に表現しきってみせる松山ケンイチの演技。 ギラギラした野心と過去に受けた傷、金持ち連中への反骨精神とも憧れとも嘲笑ともつかない思い…。 既に3人も殺害している恐ろしい人間なのに、何故か共感し、同情し、時にはちょっぴり応援までしてしまう。刑事が執拗に追ってくるとハラハラします。
4話現在、お金持ちの三國家にうまく入り込み、容姿コンプレックスの次女・茜をたらしこむのにまんまと成功しておりますが、たらしこみ作戦に出るということは自分が見た目けっこうイイ男だという自覚はあったのね(目の傷を差し引いても)。 この三國家で「慎ましい青年」「分をわきまえた貧乏人」の役をきっちり演じて徐々に徐々に信用を勝ち取っていく風太郎…。 野心むき出し状態の台詞との裏表ギャップがすごくて、あいた口が塞がらん。 銭のためなら殺人でも芝居でもなんでもするズラ!
三國家の令嬢・緑を演じるミムラもおっとり上品な感じが出ていていいですね。恵まれた環境で育ち、お金持ちゆえにお金よりも尊いものを信じる。性格も考え方も上品です(笑)。 少女期の森迫永依ちゃんも幼いながら厳しく気高いお嬢様を好演していました。
キャストで不満なのは、金の無心に来る飲んだくれの父親です。 椎名桔平、小綺麗すぎます。演技自体はなかなかいいんだけどねえ〜、外見が…。つい最近まで定職に着いてた人って感じです。もっと裏ぶれた感じが出てないと。
あと、この話の中でいい味出しているのが、あの庶民的な食堂「伊豆屋」のシーンですね。 店の人達の人柄が気安く、唯一和めるシーンになっています。全体が重いこの話の中で、こういう場を作ってバランス取っていくのは大事なことですね。 そうそう、松山ケンイチが二役やったあのロクでなし兄ちゃんも良かったですね(笑)。
なお、原作は1970年に描かれたとのことですが。 ドラマは現代版にアレンジされていますが、野望の対象が「造船業」というあたり、やっぱ70年代です(笑)。 この頃、造船業はものすごい好景気だったそーで。わたしは元造船会社勤務ですが、当時の話になるとオジサマ達は遠く眩しかったものを見るような目で語ります(笑)。 ま、そのあとの80年代に「造船不況」という時代がやってくるんですが…いや、まあ、それは『銭ゲバ』とは関係ない話(笑)。 とにかく原作が今の時代だったらもっと別の業種が選ばれていることでしょう。
この先、この話はどうなるんでしょう…。 ネット検索してるうちについつい原作のネタバレを読んでしまったんですが、この通り事が運んだら殺しの数、多すぎです(苦笑)。死者の多さも70年代風。 今時の視聴者には受け入れられないと思うので、たぶんラストは変更されると思うけど、だとしたらどう変わるのかも興味深いです。 早く続きが見たいズラ!
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