みかんのつぶつぶ
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季節は、
どんなときにも平等にやってくるものだと思っていた。
だけど、
もうこの夏を過ごすひともいないということを、
チクリと思い出し。
夕暮れの舗道に、
百日紅が花開いていることの悲しさ。
真昼の熱気が、
足元から放出されるこの時間は、
解放感と同時に妙な感傷が全身を包み込む。
どこへいってもいないんだよね。
やっぱりね。
刻み込まれたその姿を、夕暮れの空に写しだす作業に没頭する。
自分で時を止める。
ありふれた、ありきたりの、ただの夏の日を過ごすはずだったのに、
こんなにもこんなにも、
行きつくところのない感情を抱える時を迎えることになるなんて。
そう、もうあのひとはいませんよ
ゴム草履でそのガードレールをまたいでいたあのひとは、もう
引っ越そうかな。
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