みかんのつぶつぶ
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2002年05月28日(火) 放射線治療

「強度変調放射線治療」という新しい治療法が夕刊に載っていた。
いままでは四角か楕円形にしか照射できなかったものが、がんの形にあわせて、ひょうたん形や三日月形にも照射できるというものだ。
日本では1年ほど前からスタートしているという。

放射線は、手術、抗がん剤と並ぶ、がん治療法。
彼の場合も、悪性の腫瘍ということもあって、2回の開頭手術後に全脳へ照射している。
これは、残存しているであろう目に見えない腫瘍細胞を徹底的に消滅させるため、再発防止のためだ。
結局、この副作用で脳が萎縮をしはじめ、身体状況が悪くなると同時に痴呆化傾向に陥っていった。
私は、放射線治療に入る時、随分と説明を求めた。
全脳へ照射されることは避け、腫瘍を摘出した痕への局所照射だと思っていた。
だが、実際は全脳へ、通常よりも高い放射線量で。
副作用を危惧するよりも、再発の危険性のほうが医療側にとっては優先的問題だったのだ。




それだけ、悪性度の高い、そして、治療法のない腫瘍だったということ。
「悪性のなかでも特に悪性度が高いものなんだよね・・・」
F先生の渋い表情を思い出すなあ・・・





脊髄腫瘍、特に緊急を要していた頚髄腫瘍へも照射。
この時、抗がん剤治療と併行していたのもあるが、目に見えて状態は良くなった。痛みも治まり、力の抜けた左腕はそのままだったものの、
立てなくなっていた左足に力が入るようになり、歩行練習も始めたほどだった。




放射線は、腫瘍部分だけではなく、そのまわりにある正常な部分までたたいてしまう。
たとえば子宮がんだと、そばにある臓器にまで影響し、副作用で苦しむ。
脳もそうだ。
正常な脳細胞にまで照射され、すぐに出現する副作用もあるが、
彼のように、月日が経ってから影響してくる副作用・・・脳に副作用、
それは、その生活や人格に深く影を落とす。



しかし、放射線治療をしなければ、命を落とす確率のほうが高くなってくる。



予測される副作用を避けるか、
腫瘍細胞の活動を止め、命の長さを延ばすか。


そんな選択ばかりだった。







だから、
この記事を目にしたとき、
やっとこういう治療法が表に出てきたんだなあという想いだった。
脳腫瘍の治療法は、まだまだ進まない。



この新しい放射線治療で、完治は困難でも、
少しでも副作用が減り、治療法があるという希望が持てるようになったことが、とっても嬉しい。





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