みかんのつぶつぶ
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冷たい雨だ。 冷えた空気に漂う金木犀の匂いが、ますます気持ちを痛めつける。
また季節は巡ってきたんだなあ・・・
心も視線も遠くを眺めている。 目の前を見たくないばかりに。
どっぷりと超現実な場面に対応しなければならないギリギリの緊張感。 医者や看護婦の仕事がいかに大変か…と、 同情する。 しかし私は、なにせしがない素人なものだから、なんとも割り切れないやるせない気持ちばかりを引きずるねえ。
ストレッチャーに乗って、シャワーを浴びることができた。 気持ちよさそうだったな。 浴槽に入れないのは、残念だけど・・・
「情けないな・・・」
ポツリとこぼしていたなあ・・・ 寝たままお風呂に入るなんて、 我が身を恨みたくなるよね。 いままで看護婦さんに手を煩わせず過ごしてきたこの病院で、 こんなにも何もできなくなった自分の状況が、 なんとなく辛い、という感情がわいてきたのか・・・
帰り道、胃のあたりが熱く感じる。 ここで体調を崩したら、ここでこの緊張の糸を緩めたら、 私自身にもう責任が持てない。 久しぶりに、恐怖を感じた。
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