みかんのつぶつぶ
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2001年04月21日(土)

「さぁ、これで俺の一日は終わった」

昨日、最後の一服から病室に戻り
ベッドに上がりながら言った。
私は帰り道、この言葉に含まれている
『アリガトウ』をみつけた気がした。

そうなんだ。
私がいないと一人で出歩けない。
ちょっとでも足を下ろすとセンサーが働き
看護婦さんが

「どうしたの〜〜」

と飛んでくるという。

「俺の仕事を全部取られちゃう…」

だからこそ私がいる時に
自由に病室を出入りし、動きまわり、
「日常」を「暮らし」たいのだという気持ち。
洗濯や、売店へ買い物に行き、
病院中を散策してまわり、
入院生活を満喫したいのだ。

それに黙って付き添ってあげることが
いま、いちばん彼の望むことなのではないか・・・

つい昨日まで動いていた左腕が
今日はまったく動かなくなったら
どんな気持ちになる?
認めたくないよね…
そんなに病気が重くなっているなんて
知らないよね、知りたくないよね?

俺は大丈夫なんだ…

なんで一人で動いちゃいけないんだ…

彼の落ちつきのない行動に
付き合いきれないとストレスになったが
やっと理解できた気がした。

歩くんだ。
健康だから動けるんだ。
動けば腹が減るんだ。
だから食べるんだ。
食べたら歩くんだ。


5時のチャイムが鳴ると、満足気にベッドに上がり
 
「もう帰る時間だぞ」

ベッド廻りに本や新聞を揃えて
明日、私が来るまでの時間を過ごす準備を始める。

彼の一日は、私と過ごす時間だけなのだ。
大切な、彼の一日。


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