闇の底に...Cuckoo

 

 

遠い思い出 - 2002年07月18日(木)

遠くで花火の音が聞こえる
記憶の底の幸せな瞬間とか
記憶の彼方の笑顔の瞬間とか
もう忘れちゃった哀しい音


アタシの住む所は
川の近くで毎年大きな花火大会が開かれる。
物心付く前からその音を聞いていた
初めて友達だけで行ったのは中学の時
毎年毎年夜店を周り
見あげる大きな火の花を見ていた。
花火大会が行なわれると夏を感じる

8年前だろう
初めて元旦那と花火大会に行った
仕事先のパチンコ屋でまかないをしていたおばちゃんが
元美容師だったので着付けをしてもらい
髪を綺麗にアップしてもらった
着替え終わり店内に下りていくと
他の従業員や客が
孫にも衣装だな なんて言いながら誉めてくれた。
アタシは少し気分良く 元旦那の待つ場所に歩く
通りには浴衣を女の人が沢山で
その横で少し自慢気な男が腕を取る
そんな姿を横目に小走りに待ち合わせ場所に
青地に花柄の浴衣姿に
少し満足げで少し照れた顔の奴がいた。
慣れない鼻緒に足を少し痛めて
だけどそんな事にはおかまいなしの奴がはしゃぐ
人ごみが大嫌いだという奴に合わせて
少し人が居ない場所で花火を眺める

アタシの楽しかった最後の花火大会の記憶
アレからいろんな事があって
アタシと奴は憎みあうだけの存在になった。
ただ憎みあい
それでも切れない縁に苦しむ
そんな仲になってしまった。

今日母に話しをした
この間の日曜日にあった事を。
分ってくれないかもしれないけどね
そう言ったが
女同士だからだろう
水鳥の気持ちはよく分る
そう言った。
だからってどうするの?
そう言われた

アタシは馬鹿みたいだけど
毎月第二の日曜日
水鳥から電話して 何時?って聞いていた
子供を送り出してから仕事に行くからってのもあったのだけど。
お母さんに言った
もうアタシから逢わせるようにする必要は無い
こちらから連絡はわざわざしない事にした。

電話を途中で切られた
話ができなかった そう悔しそうに言うアタシに
母は言った
『だから別れたんじゃない』
そうだね
別れたら変わる そんなのはありえない
変わるのならとっくに変わってる
変われるのなら別れたりしなかった
こんなに憎まなかった。

『人を思いやる とか気をつかう っていう感情に
 あの子(元旦那)は欠けてるんだからこれからもあるよ そういう事』
確かにな
そう思った
何を期待してたんだろう
子供を愛しく思って
子供を求めて
子供の事を第一に考えて
そんなのは錯覚
アタシがそうであって欲しいと勝手に願ったのだろう
無意味な期待も
無意味な想像もよくない
これからも
きっと
同じ事が何度も起こる
そのたびアタシは又憎む
繰り返す。


遠くで花火の音が聞こえる

毎年変わらないこの風景に

これからどんな記憶を乗せるだろう



記憶の中の奴の顔は

実は睨み付ける現在の顔でしかなかった。




憎しみに侵食されて

疲れて




そうだ


あの人に電話しよう


愛しいあの人の声を聞こう






彼のMSNの名前は


立ち上がらないのだけど。




                水鳥。


...




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