Reality+??
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「俺、明日死ぬから宜しくね」
「・・・・・・・は?」
何を言われたのか、理解するのに数分。 理解した後も言わんとする事が解かり兼ね、至極間抜けな顔をしてしまったであろう。 昼下がりのカフェ。目の前には珈琲と遅めのブランチ。 そんな緩やかな場には相応しくない突然の告白は、 まるで明日の天気を喋る様にさらりと発せられた。 整理し切れない自分を他所に置き、真向かいに座る美貌の人は諭す様に喋る。
「やから、明日。俺死ぬから。後の事宜しくお願いしたいねん。」
「・・・自殺すんの?」
「そんなナンセンスな事はせぇへんよ。」
何がどうナンセンスなんだろう。等という言葉も出てこなかった。 "明日死ぬ"。そんな事が解るのは自害者か予言者だけだ。 昔から突拍子もない、予測付きかねる事を言う人ではあったけど、 今日、今此れ程に自分の許容範囲外の事を言われたのは初めてではないか。 物騒な言葉とは裏腹に穏やかに珈琲を飲んでいる彼は 残暑の厳しい日差しに帰化してしまいそうな雰囲気を纏っている。 しかし。だからと言って。
「────────でな」
はた、と。呼び戻され思考を停止。一先ず耳を傾ける。
「ちょっと預かって欲しいモンがあんねん。」
「・・・・・・・・・何。」
何が面白いのか満面の笑みで、小さな紙を手渡された。 中を開けると住所だけがか書かれている。街外れの番地だ。 不可解な顔をせざるを得なかった。
「この住所に行って欲しいねん。俺が死んだら。」
「名前も何もないじゃん。」
「此処に行けば全部解るよ。俺の一番、この世で一番大事で 大切なモノが此処にあるから。預かって欲しいねん。」
「預かるって・・・・・・────死ぬんでしょ?」
性質の悪い冗談だ。 一体何を言いたいのかさっぱり解らなかった。 思えばもう、始まっていたのかもしれない。この時から。
「必ず迎えに行くから。そう伝えて。 ・・・・ここの勘定は俺が持つから。宜しくね。」
彼は綺麗に笑って、伝票を持って席を立った。 鮮やかに、その笑顔は瞳に焼き付いた。 呆然として固まってしまった俺を残して。 残った住所の書かれた紙がリアルに掌にあり、失笑する事を許さなかった。
「・・・冗談デショ?」
───────翌日、彼は交通事故で死んだ。
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