二人で行った横丁の(獅子鷲)


 Past : Will 2005年02月11日(金) 


「な、なんだと〜!!!」

玄関口で、でかい声があがった。
こたつでカタツムリ状態のまま、じゃんけんで買った俺は首を伸ばし、そっちの様子を伺うと、何か知らないが岳の背中がわなわなしている。

「ね、どしたの?」
「ありえん!」
「なにが?」
「この季節に断水だってよ。まったくありえねぇ!」

じゃあ、どの季節ならありえるんだよ…。と、ツッコミたいのを、グッと我慢した。
ドスドス足音荒く、こっちの部屋に戻ってきた岳は、にぎりしめてたチラシを、ぺらりと俺の前に落とす。
うまいぐあいにキャッチして紙面を見ると、確かに『緊急のお知らせ。明日10時から翌朝6時まで断水』って文字が。

「別に夜中だから、水使わないじゃん」
「風呂はどーすんだ?」
「あ〜」
「この寒いのに、風呂入らずに寝れるかっつの」

…そんな、江戸前ジジイみたいなこと言って。と、ツッコミたいのもグッと我慢した。
まあ俺は、風呂なんか入らなくても、ぜんぜん寝れるけど。
むしろ、このままコタツで寝ちまって、ド突かれるのがオチだろうけど。
ごろんと寝転がって、岳の顔を見あげる。
それから、天井を眺めてたら、ふと、名案が舞い降りてきた。

「じゃあさ、銭湯は?」
「ええと…近くにあんのか?」
「ほら、駅からここに来る途中。銀杏並木の入り口んとこ」
「…ああ。そういえば」
「いいじゃん。ちょうどそんな季節だし」
「…どんな季節だよ?」
「赤いマフラー、手ぬぐいにして〜♪」
「…それ、逆だぞ。赤いてぬぐい、マフラーにして♪ だろが」
「あ、そうか」

マジで間違えたので、さすがに照れくさくて笑ったら、岳も、あきれたように笑った。

「とりあえず、明日は、一緒に行った横丁の風呂屋〜♪だな」
「いつも待たされるのは、どっちだ?」
「岳だろ」
「走だろ〜」


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同じ男湯なんだから、一緒に出ようねっていったら一緒に出れるよなぁ(笑)

寒い日の風呂は格別です。
人類で、一番最初にお湯に浸かることを試みたのは誰なんだろう。試みてくれてありがとう!

獅子鷲夫婦の日常、自分も相当楽しんで書いているので、そういっていただけるととても励みになります(><)友達夫婦!(合言葉)<拍手レス


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