花冷え(夫婦)


 Past : Will 2004年03月27日(土) 


「うぃ〜、さみぃ〜」
「なんだよ岳、ヒトの顔見るなり…」

ムゥと口をとがらかせて走がボヤくと、首をすくめた岳は目を細め、

「そりゃ、お前の口が、イーッてなってるんだから仕方ねェダロ」
「い?」
「さ〜む〜い〜。の、イ〜ッの形で固まってたから、おお、寒いな。って相槌打ってやっただけサ」
「だけサ、ってなんだよ。気持ち悪いなぁ…」
「そりゃあ、春だからな。ちっとは軽やかにならねぇと」
「わけわかんない…」
「いや、わけわかんねえのは、この寒さだろ。3月だぞ? もう桜の開花宣言出たらしいのに」
「でもさ、ホント今年って桜早いよね〜。こんな寒いのに咲いてんだもん」
「な。入学シーズンには散っちまうな」

ピュ〜ッと花冷えの寒風が、ブチブチと覇気無く喋る二人の間を吹きぬけ、そのあまりの寒さに、走も岳も亀の子のようにシャツの襟に首を引っ込めた。




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