ゆりかごから墓場まで(獅子鷲…?)


 Past : Will 2004年01月22日(木) 


「あー!ちょっとちょっと退いてー!」
「痛ッ…いってーなぁこの!」

イモ洗い状態で揉み合う、誕生前の魂の群れが、突然の諍いに波立って揺れる。
弾き飛ばされたほうの魂は、猛禽の瞳のような、ぱっきりとした黄金色に輝き、もう一方は、燃えさかる炎のように、紅く力強い光を放っている。

「てめぇ、ちょっとは落ち着けよ!」
「ごめん、ごめんって……っていうか…」
「…は?」
「俺達、どっかで会った事ないか?」
「…まだ生まれてねぇんだから、解る訳ねぇだろが。でも…」
「でも?」
「いや、何でもねぇ」
「なんだよーおしえろよー」
「お前、うぜえ…」

ただでさえぎゅうぎゅうの空間は、そんなじゃれあい(?)ひとつで大揺れに揺れ、誕生を待っていた千差万別色を宿す魂たちが、出口に近いものから押し出されるようにして、ぽろぽろと零れ出していく。
予定外の早さで生を受けることになる魂は、慌てふためきながら、それぞれの予定地へと散り散りになっていった。
もちろん、二つの魂も例外ではない。殆ど絡み合った状態で、うねる波に運ばれる漂流物のように、じわじわと出口に近づいて行く事に気付いたが、すでに時遅し。

「ああ〜、生まれるのは十二月の予定なのに〜」
「二ヶ月くらい早まっても平気だろ!こっちはいつ生まれるかもわかんねぇってのに!」
「なんだ、年下?」
「ココで言ってても、全然関係ねぇし」
「…確かに」

炎の色を宿した魂が、ほんのちょっとだけその場で踏ん張り、それから、勢いをつけて、黄金色の魂を突き飛ばした。

「痛ぇ!」
「今行ったら、入れるカラダが無くて困るでしょ?」
「ちょ、ちょっと待て!俺は借りは作んねぇ主義なんだよ!」

怒鳴り声も虚しく、割り込んできた無数の魂に囲まれて、お互いの姿も形も見えなくなってしまう。

「だったら、逢った時に返してくれればいいから!」

そんな声を遥か遠くに聞きながら、黄金色の魂は、そっと呟いた。

「ぜってー返してやる…」


その晩、東の地で、おぎゃあと産声があがり。
遅れること一年、同じく東の地に、新しい命が誕生した。

そして、物語が始まる。


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白い巨塔に夢中です。
金曜日はいつも友人らと巨塔ごっこです。
特に、教授婦人会の皆様が楽しいです。わーい!


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