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| 2003年08月04日(月) |
『ローマ人の物語�将機―�わりの始まり』 |
『ローマ人の物語�将機―�わりの始まり』読了。塩野七生社。新潮社。 最近、帰ってきてから眠る前にちょっとずつ読み進めていたこの本も、ついに読み終えてしまった。これで、現在刊行されているシリーズの最終巻に追いついてしまったので、あとはリアルタイムに15巻までを愉しんでいくしかない(このシリーズは、毎年1巻ずつ刊行され、15巻で終了する予定なのだ)。 この巻では、ローマ皇帝の中で最も評判の良いマルクス・アウレリウスが中心となっている。大変な時代に皇帝でありながら様々に起こる問題に誠実に対処したと言われるマルクス・アウレリウスだが、著者は彼の治世の中にローマ帝国の衰亡の芽を見ている。たとえば、数代前の皇帝であるハドリアヌスについて、著者はこう書いている。
ハドリアヌス帝に対する同時代人の評判が悪かった理由を平易に言い直せば、次のようになる。雲ひとつない晴天がつづいているというのに、いつの日か襲ってくるかもしれない洪水にそなえて、首都ローマを留守にしてまで帝国の各地方の堤防の増強に専念している、である。(232ページ)
マルクス・アウレリウスの治世にはその視点が欠けていたとするのだ。もちろん、マルクス・アウレリウスの時代には様々な外的与件に振り回され、能動的な施策をとるというよりは受動的にならざるを得なかった部分は大いにあると思う。実際、後世の歴史家たちに評価が高いのも、そのような時代の中で堪え忍んだためだ。けれども、そのような受動的な行動はいわゆる歴史の中で繰り返される点であり、能動的な施策というのはある程度未来から逆算していく線ということになる。点の集積は思わぬ曲線やいびつな線を作り出してしまうかもしれないが、逆算する線はある程度は思ったように引くことができる。そのような意味で、ローマ帝国という巨大な版図が少しずつ異なる方向に進み始めるきっかけとしての受け身の連続という側面はあるのだと思う。けれども、雲ひとつない晴天のときに、いつかくるかもしれない洪水にそなえるということは本当に難しいことなのだ。きっと。
企業でも本当にそのような側面があるのだと思う。調子の(売上げ、利益等)がよいときにいつかくるかもしれない不況や不調期に備えて様々な施策を打っていくということが、頭ではわかっていても実際に実行に移し行動していくことは本当に難しいのだ。そして、調子が悪くなったときに矢継ぎ早に打つ手は、大抵の場合後手に回り、たいした効果を発揮することはない。そのような部分で、やはり中長期的な目標を掲げ、そこから逆算していま何をやるべきなのかということを押さえておくことは重要なのだと思う。もちろん、それは簡単にはできないのだけれど。
歴史にはやはり様々な事例があり、それらのいくつかは教訓として感じ取ることができる。仕事や自らの環境に照らし合わせながら、いろいろと考えるための助けのひとつにしていこうと思う。
それにしても、読み始めたときには先があまりにも長すぎるような気がしたこのシリーズも、ついに発刊のペースに追いついてしまった。まとめ読みの愉しさというのも確かにあったから、ちょっとだけもどかしいような残念なような不思議な感じがする。
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お知らせ
一気に夏本番という感じで、暑いですねえ。
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