Sun Set Days
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| 2003年02月14日(金) |
森の動物たち�Α .好謄�な映画を観ようの巻 |
――主な登場人物――
さる江:ドラマティックなラブストーリーが大好きな猿。親戚にプロゴルファーがいる。
リス衛門:サッカーや野球が大好きな元気なリス。背が低いことがコンプレックス。
くま吉:森の動物たちみんなに慕われているくま。市長時代のジャンバルジャンのようにその過去は謎に包まれている。
うさ子:森のアイドル。ミッフィーを意識しているが、実は結構計算高い。
Sun Setさん:なぜか森に住みついている。
「ふぅ……」
リス衛門がさる江の家の前を通りかかると、どうぶつテレビを前にしたさる江がうっとりと画面を見つめています。
「どうしたんだい? さる江。ため息なんかついちゃって」 リス衛門は窓からさる江の部屋を覗き込んで暢気にそう尋ねます。
「ステキだった……」 さる江はそう言ってもう一度大きく息を吐くと、両手を胸の前で合わせて目をうるうるとさせます。
「ステキだったって、何がだい?」
「いまやっていた映画よ。『猟奇的なヤギ』って映画なんだけど。もう最高にステキだったわ」
「『猟師敵なヤギ』? まあ、ヤギにとって猟師は天敵だろうね」
「ちょっとっ!! ふざけないでよ。『猟奇的なヤギ』よっ。特異、タフ、面白い、突拍子もないヤギってことよっ!!」
「……どんなヤギだよ、それ」
「まったく、リス衛門は乙女心がわからないんだから」
部屋の中のさる江はそう言うと、リス衛門のことは無視して録画しておいたビデオテープの巻き戻しのボタンを押します。どうやらもう一度見るつもりのようです。
「今度はちゃんとUFOが出てくるシーンにも気がつけるようにしなくっちゃ」
「ちぇっ。なんだよ乙女心って。わかるはずないだろ」
リス衛門はそう一人ごちながら森を歩いてきます。もちろんくるみを齧りながら。くるみはリス衛門の好物です。リス衛門のどうぶつ学校での将来の夢の作文は、大人になったら、食べきれないほどのくるみを食べてみたいというものでした。クラスメイトたちはその作文に大笑いしたのですが、リス衛門にはどうしてみんなに笑われるのかがわかりません。くるみをお腹いっぱい食べることができたらどんなに幸せだろう……そう思ってにんまりとします。かじかじ。
そんなふうにして歩いていると、目の前から森のみんなのアイドルうさ子が歩いてきます。リス衛門は友達に会ったときの常で大きな声で呼びかけます。
「よう! うさ子」
すると、いつもは笑顔で「こんにちは、リス衛門さん」と挨拶を返してくれるうさ子が、どうしてかリス衛門をにらみつけてきます。
「……ん? どうしたんだよ」
「ぶっ殺されたい?」
「ちょ、なんだよそれ。なんかしたかよ、オレ」
「ピンクの服は着るな!」
「着てないだろ……地毛なんだから」
「タメ口きくんじゃないよ!」
うさ子はそう言うと、そのままつかつかと歩いていきます。
リス衛門はその後姿を不思議そうに見つめています。
「……なんだよ、あれ」
☆☆☆☆☆
「ああ、それは『猟奇的なヤギ』の影響だね」
リス衛門がさっきの出来事を説明すると、くま吉はそう言って微笑みます。
「『猟奇的なヤギ』? ああ、そう言えばさる江もそんな映画を観ていたな」
「いま動物たちの間で大流行している映画だよ。特異、タフ、面白い、突拍子もないヤギが巻き起こすちょっっぴりせつないラブ・ストーリーなんだ」
「それだけ聞いていたらとてもそんなふうには思えないんだけど……」
「ま。リス衛門も観てみることだね。Sun Setさんなんか大ハマリしているよ」
「Sun Setさんはいつもどっぷりはまるからさ。でもまあ、それだけみんな観てるってことはやっぱり面白いのかもしれないな」
「そうだな……じゃあ、今晩森の大シアターでみんなで見るとしよう」
そして、いつも落ち着いているくま吉の提案で、その日の夜は森の大シアターに白い布をはって、動物たちみんなで『猟奇的なヤギ』を観るのでした。さる江もうさ子もSun Setさんも、モグたんもワッシーもみんな集まります。 最初は、どういう映画なのか全然わからなかったリス衛門も、前半に笑い、後半では涙しながら、『猟奇的なヤギ』を充分に堪能します。
そして、映画の後は若い頃にはフランスの五つ星のホテルでコックをしていたという噂もあるくま吉が腕を奮い、おいしい夕食が振舞われます。きのこソテーやきのこムニエル、それにきのこサラダなど、きのこづくしです。みんなでステキな映画を観た後に、みんなで美味しい料理を食べる。
森の動物たちは、ひさしぶりの登場でもやっぱり暢気に幸福に暮らしているようです。
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お知らせ
森の動物たちシリーズが読みたい方は、Days Selectにあります。 そしてもちろん、今日のDaysは『猟奇的な彼女』を観た方には元ネタがわかってより楽しめます。
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