Sun Set Days
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2002年09月03日(火) それゆけポエムン!

 今日は小学生の頃に見るような、30分アニメの雰囲気で。


 ポエムンはウットリ星からやってきた不思議な生き物。
 毎日窓辺で自作のポエムを呟いては、アンニュイでロマンチックな妄想に浸っているんだ。
 ひょんなことからボク(柏木ケン太。中学校1年生)の家に居候することになったポエムンは、毎日詩を朗読するのでかなりウザイ。
 って言うかマジウザイよ!
 だって四六時中ボクの部屋にいるんだ。そして一日中ポエムを呟いてはうっとりしてるんだぜ!
 本当に困ってるんだ!
 でも最近はこういう不思議な生き物を邪険にするとマスコミの追及が激しいから、表面上は我が家で可愛がっていることになっているんだ。エヘ☆(ブラックだね。世の中って怖いね)

 せっかくだから、ポエムンについてちょっとだけ説明しよう。
 色は白色。
 形は2頭身で、額のところに星のマークがある。
 これがときどきいろんな形に変わる。それがポエムのジャンルを表わすらしい。
 つまり、ハートマークのときには恋のポエムを、木のときには自然のポエムっていうわけ。
 また、見た目は結構ぬいぐるみにでもなりそうなくらい可愛いのだけれど、実はかなりの毒舌家で、他人のポエムにはやたらと厳しいことも特徴に挙げられると思う。
 あと、精神的にもやたらと打たれ強い。
 口癖は「心のポエムっていいよね……」。

 じゃあ、そんなボクらの日常をちょっと垣間見てもらおう。


「それゆけポエムン!」 第一話 心のポエム3部作


 ケン太が部屋でマンガを読んでいると……


「ねえねえケン太君」
「なんだいポエムン」
「ついさっきいいポエムを思いついたんだ。聞いてくれよ」
「いや、実は宿題があってさ……」
「宿題なんて! このポエムの前にはやらないと怒られるような代物でしかないよ!」
「いやだからそれがいやなんだって……」
「いいからきいてくれよ! この、家族愛を謳ったポエムをね!」


 ポエムン心のポエム� .織ぅ肇襦 屬覆戞�


 なべ なべ
 あたたかい なべ
 とうふ あつい
 ねぎ あつい
 しらたき あつい
 さかな あつい
 なべ なべ
 あたたかい なべ

 ボクはなべぶぎょうになりたいんだ いつも


「ふーん」
「ふーんって! ふーんって! どういうことさそれ! このポエムマスターとしても名高いポエムンのハートフルポエムじゃないかっ! もっとほら、こう涙を流すとか、気がつくとお玉を持ってアクをすくいそうになっていたとか、そういう反応はないのかい? 言うに事欠いてふーんって」
「いやだから熱いんでしょ。それはよくわかったよ」
「そ、そんなのは形而上の修辞学でしかなくて、ある種の暗喩でしかないんだよ。つまりはメタファーさ。それをただ熱いんでしょだなんて、ケン太君、君は本当にまったくもって全然わかっていないね。また、ベッドのマットの下に隠しているプレイボーイの水着のグラビアのことしか考えていないんだろう!」
「(ドキッ!)な、なんでそのことを……」
「ボクはね、ケン太君。ポエムを伝えているときには五感が鋭敏になって、ある種のトランス状態になっているのさ。だから、ケン太君がこの部屋のいたるところに隠している恥ずかしい雑誌のことなんて全部お見通しなんだよ!」
「(バツが悪いなあ……)」
「しょうがない、ケン太君には、もうひとつ、とっておきのやつを聞かせてあげるよ!」
「えー(あー、またつかまっちゃったよ……)」


 ポエムン心のポエム�◆.織ぅ肇襦 屮櫂好函�


 ポストはいつもてれている
 はずかしがりやさんなんだ(だからまっかだ)
 でもこうきしんいっぱいで
 ふたつのめをつぶったりはしない
 いろんなてがみを
 ふたつのめでみているよ
 せかいじゅうのてがみを
 ポストはじっとみつめている


「……目つぶし?」
「ノー! なんだよそれケン太君。目つぶしって、残酷だなぁ。そうじゃなくってさ、ポストの二つの入り口を目に見立てた擬人化の技法が用いられたかわいらしいポエムじゃないか」
「そうだね」
「心がこもってない言い方だね! ふんっ!」
「だからポエムン、ボクはこう見えても結構忙しいんだ。ポエムンのポエムは今度時間があるときにゆっくり聞くからさ。今日はもういいだろ」
「ケン太君のうそつき! いつもそうやって言うじゃないか。日曜日には遊園地に連れて行ってくれるって言ったもんっ。だからアタシは楽しみにしてたのに……パパ、いっつも約束破るんだもん……」
「……設定変わってるって」
「と、とにかく。ここまで聞いたんだから3部作の最後のポエムも聞いてもらうよ」
「……3部作だったんだ。初耳だよそれ」


 ポエムン心のポエム�� タイトル 「蟹光線」


 でました 巨大蟹が街に
 目からビームを出してる
 まさに蟹光線
 みそもたっぷり はいってる
 目からビーム
 足にも身がぎっしり
 高層ビルをも焼き尽くす
 蟹光線
 みそがもれても 失うものはない
 やつが泡を吹いたそのとき、歴史が動いた

 
「……なんか根本的に理解できないんだけど」
「天才はいつもそうさ。愚民どもよりも10年先に行き過ぎてしまうんだよ。まあケン太君がこのポエムの素晴らしさを知るには、あと3日くらいかかるね」
「3日でいいんだ……」
「あー、でも3部作を披露したから、気分がすっきりしたよ。夜のリサイタルも、楽しみにしていてくれよ」
「へー(そんなのあるんだ……)」


 ……続く?


―――――――――

 お知らせ

 今月下旬にCoccoの絵本が出るんですよね。どんなものなのか楽しみです。


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