解放区

2014年10月29日(水) がんばれ阪神タイガース

#この文章は、阪神タイガースが奇跡的に巨人に勝ったときに書き始めました。しかしその後時間もなく、気が付いたら第4戦まで終わってるやんけ。とほほ。



阪神タイガースが日本シリーズに進出してしまった。こんなことってあるのかと正直驚愕している。ほんの1−2週間前には全く考えられなかったことだ。

レギュラーシーズンはなんだかぱっとしなかった阪神タイガース。一時期は4位にまで落ちてしまい、関西中に和田監督に対するブーイングが吹き荒れたが、最後まで2位を走っていた広島カープのよくわからん失速もあり、強いのか弱いのかよくわからんまま広島を僅差で抜き去り2位でシーズンを終えた。

そしてポストシーズンが始まった。今までのポストシーズンでは、シーズン中にも増して不甲斐なかった阪神タイガース。正直誰も期待していなかったと思うし、てめえも「ファーストステージでさっさと広島に負けるだろう」と全く期待していなかった。

ところが蓋を開けてみると広島に無敗で勝ち上がり、なんと信じられないことに宿敵の巨人を4タコに打ち負かして日本シリーズに進出してしまった。なんてことだ。夢を見ているようだ、というより、夢そのもので明日朝には儚く消え去っているような気がするが、これは現実である。

しかも相手は、かつててめえが愛してやまなかった南海ホークスを前身とするソフトバンクホークス。これ以上の舞台はないのではないか。

てめえがこの世に現れてから、阪神が日本シリーズに進出するのはこれで4度目。


1回目は29年前。てめえは小学生だった。当時は21年ぶりの優勝に関西が揺れた。もちろんてめえの人生の中で初めての阪神優勝。その勢いのまま、初めての日本シリーズ優勝を果たす。まだ南海ホークスは存在していたので、てめえは純粋な阪神ファンではなかったが、虎キチである父や阪神ファンが圧倒的多数を占める同級生達は激しく燃え上がっていた。

当時、日本シリーズはナイターではなくデイゲームだった。まだドーム球場が一般的ではなく、夜は寒すぎて試合が出来ないと考えられていたためである。

もちろん小学校では、試合時間中は授業の真っ最中なのだが、生徒及び教師の圧倒的多数の支持を得て、授業は休止されてみんなでテレビ観戦をした。

日本一を果たした阪神タイガースの熱狂的なファンは、集団で海に飛び込むレミングの如く(注:この話は単なる伝説で、レミングは集団自殺しないそうです)次々と道頓堀に身を投げた。おまけにカーネルサンダースさんが胴上げをされ一緒に道頓堀に投げ込まれたのは記憶に新しい。

とばっちりを受けた彼の呪いにより、その後の阪神タイガースは低迷を極めた。


2回目は11年前。てめえは医学部6年生だった。卒業試験と国家試験を控えるこの大切な最終学年の秋に、よりによって阪神タイガースは優勝してしまった。野球部に所属していたてめえの学友は、優勝に狂喜乱舞し道頓堀の汚水に身を投げた。そんなベタ過ぎる彼も今や立派な医者になった。

貧乏学生だったてめえには、日本シリーズのチケットは高嶺の花で、手に入れることはおろかトライすることも出来なかった。その代わりではないが阪神タイガースのハッピを購入して自宅で観戦した。

しかし、どうにも我慢が出来なくなって、とうとう甲子園でのパブリックビューイングに足を運んでしまった。もうてめえの沖縄行きも決まっていた。もしかしたら二度と甲子園に足を運ぶことはないかもしれないという思いもあった。

甲子園のスクリーンに映し出されるプレーに、てめえはあらん限りの声援を送ったが、残念なことに阪神はあっさりと負けてしまった。


3回目は9年前。沖縄では、驚くべきことに日本シリーズのテレビ放映自体がない試合があった。BSだかケーブルテレビだかでは観ることが出来たのだが、てめえはそのいずれも契約していなかった。

そもそも研修医の身分では、日本シリーズを放送している時間に仕事を終えて帰宅することが不可能だった。

そんなある日、たまたま仕事が早く終わったので、てめえは日本シリーズを観ようと急いで帰宅した。しかし、なんとその日はテレビでの放映がなかったのだ。そんな日に限ってこんなことがあるのかとてめえは愕然とした。

だが、待てよ。そういえばその街唯一の繁華街の中に、タイガース一色の居酒屋があったはずだ。もしかすると、その店に行けば試合を見ることが出来るかもしれない。

淡い期待を胸にてめえはその店に向かった。存在は知っていたが、訪ねたことはなかった。沖縄にある阪神タイガース居酒屋は違和感しかなく、足を運ぶ気にはなれなかったのだ。

やがて店に着いた。外壁はタイガースイエローに染め上げられ、阪神タイガースの旗が店の前にはためいていた。正直、やはり一人でしかも素面で店の中に入ることが躊躇された。

しかしてめえは日本シリーズを観戦するのだ。そう思い直し、少しの勇気を出して店の中に歩を進めた。

もしかすると沖縄には数少ない阪神ファンで足の踏み場もないかも、という考えは杞憂すぎた。手前のカウンターにはくたびれた親父が一人座り、てめえの方をみてうんざりと「いらっしゃい」と言った。

よく見ると奥のカンターにもう一人客がいるだけだった。なんだか居心地の悪さを覚えながら、てめえは目の前のカウンターに腰を下ろした。どこかから野球中継の音が聞こえる。ああ、よかった、ようやく日本シリーズを観戦できる。

ほっとしたてめえは、まずはビール、もちろんオリオンを注文してから店の中をあらためて見渡した。もちろんテレビを探したのだが、なんと見つけたのは電源の入っていないくたびれたテレビだった。そう、野球中継はなんとラジオだったのだ。

正直、その後のことはあまり良く覚えていない。おそらくラジオをうんざりと聞きながら適当に飲んで帰ったのだろう。この年の日本シリーズは、パリーグを2位で終えたにも関らずポストシーズンを勝ち進んだロッテが阪神に4連勝したシリーズだった。阪神は全く良いところもなくパリーグ2位のチームにぼこぼこに負けた。なんせ、第1戦から第3戦まで3戦連続して10点取られて負けたのだ。


そして今年。ほぼ棚ぼたのような日本シリーズだが、逆に楽しめると思う。てめえは第7戦のチケットをゲットしたので、ぜひ最終戦にまで縺れ込んでほしいが、さてどうなることやら。


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い・よんひー [MAIL]

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