副収入

「バファリンの半分は優しさでできています」
というフレーズを受けて残りの半分は何でできているのか
というネタをよく散見するが、不興なのを敢えて
はっきり言わせてもらうと残り半分は
「苦しさ」でもなければ「楽しさ」でもない。
原材料でできているのである。半分が優しさでできているのに
残り半分まで精神的な物質であれば
薬としての体を成していないではないか。
精神的な物質で風邪や発熱を治せなどというのは
旧日本陸軍的な精神論と同じである。
意外と知られいないが「舞姫」や「うたかたの記」などで知られる
森鴎外は旧日本陸軍の軍医で日露戦争に従軍していた。
しかし文学の才能はあっても医者としてはヤブだったようで、
脚気の原因がビタミン不足にあるという説を一笑したり
「風邪は寝ていれば治る」という持論で寿命を縮めたりした。
この点をとっても鴎外は実に陸軍的な精神論の持ち主であったかが
伺えるが、しかし本業の医者以外で有名になってしまうのは
本人にとって名誉だったのか不名誉だったのか知る由も無い。
それにしても医者というのは本業以外で有名になる人が多く
「失楽園」に続いて「愛の流刑地」という
文学の皮を被った官能小説を日本経済新聞に連載中の
渡辺淳一も医者(医学博士)である。
しかし医者の副業は文学だけにとどまらない。
例えば安全ピンを現在の形にしたのはドイツの歯医者
G・W・A・ポンヴィルだし、ウェルチジュースの生みの親は
その名もずばりウェルチ先生だ。
チューインガムをお菓子として売り出したり、
ゴルフの球を固定するティーを発明したのも医者だったりするのだ。
医者という人種は器用なのか、それとも暇を弄んでいるのか
わからないが副業は大切だね、というのが今日のまとめ。
2005年08月28日(日)

Dag Soliloquize / tsuyo