薄汚れた街

今日は一日休みなのでヘドウィグのDVDを見た。
最初に見たときの魂を鷲掴みにされるような衝撃は
もうないけれど、素直にいい作品だと言える。
まず構成がしっかりしている。ストーリー自体は
見る人にとってはわかりにくい、いや感じ取りにくいが
この作品に入っていける人は最後のシーンが何を意味するのか
感じ取れるはずだ。少なくとも僕は感じ取れた。
視覚的な効果も素晴らしい。見る人にとっては
かなりどぎついかもしれないが、元々ロックの盛んだった
60年代から80年代にかけての少しおサイケで
ポップでキッチュな感じが衣装や画面の効果からも表れている。
また曲が流れるシーンで使われるアニメも効果的で
なんとも不思議な、だけど味わいのある絵は
もはやマニア向けに成り下がってしまった
日本のアニメにぜひとも見てもらいたい内容だ。
その上そのアニメが曲の良さを引きたてている点が
特筆すべき点だろう。画面のインパクトだけでアニメを
使う例は多いが、しっかりとメッセージを伝える手助けを
しているところが何とも心憎い演出である。
そして何よりも曲が良い。これはサントラが発売された時から
かなり話題になっていたんだけど、自分の中に眠っている
魂を呼び起こしてくれるような楽曲が多く、
これを聞いて良くないというロック好きは実は偽りの
ロックファンでは無いのかと疑ってしまう程の出来だ。
そして歌詞も良い。英訳でしか意味をわかることが出来ないが
その内容は深く、巷で流行っている惚れたはれたの歌詞が
あまりに薄っぺらで下らなくなってしまう。
話は変わるけれどGOING UNDER GROUNDの
ニューアルバムを聴いてふと思ったのは
「もう一ヶ月早く出すべきだったかなぁ」
ということである。楽曲は良いのだけどどことなく
夏の昼下がり、もしくは夕方に涼みながらこのアルバムを聴くと
曲の雰囲気が出る上に、彼らのもつ少し寂しいような
切ないメロディーと歌詞が活かされると思ったのだが…。
秋に聴くには少し元気すぎるような気もする。
つくづく惜しいアルバムだ。
2002年09月11日(水)

Dag Soliloquize / tsuyo