||〜*…clover…*〜||


There are all in one.


◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆


2010年05月02日(日) あおくさ2


 ガッシャーン。
 願いどおりにそれは止まった。ただし、川に突っ込んだ状態で。

「うう……いったぁ…」
「こういうときはブレーキかけるんダヨ!ブレーキっ!」
「そっ、そうか、ブレーキ!」

 ぽたぽたと全身から雫を垂らして彼は立ち上がった。川に漬かった赤い自転車をなんとか立てようと苦戦し、……しかしその力のかけ方はド下手糞である。
 自転車が斜めに持ち上がったもののバランスを崩し、再び彼は川の中へとリターンズ。その瞬間、ついに彼女は動いた。
 とっさに反動をつけて立ち上がると、スニーカーが濡れるのもかまわず浅瀬へと立ち入る。細い手首に似つかわしくないほどの力で彼の人物の襟を掴みあげ、彼女は、言った。

「何やってんのこのばか!!いいから早く立ちなさい!」
「ぐぇ」
「ぐぇじゃないわよばか!手紙が濡れるでしょうが!」
「ぞっ…ぞうがてがmぐえげほ」
「ぐえげほじゃなくて!!」

「……あのーまずは貴女がその手を離さないと」
 そんな光景に水をさしたのは、ニクである。
 おそらくこの事態を一番冷静に眺めていると思われる。

「……そ、それもそうね」

 そこで彼女は手を離し、

「ぐぎゅ」

 ばしゃーん。
 おやくそくどおり、彼は三度川の中へ。

「何やってんのよばかああああ」

 


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葉月れい [MAIL] [HOMEPAGE]