speak like a...child

 

 

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とっさに使えない英語 - 2002年07月22日(月)

これまた土曜日のお話です。

朝、駅に着いて、友人のアパートに向かうために路線バスに乗りました。
知らない土地なので車掌さんにどこの停留所で下りれば良いか聞いていたところ、
後ろから他の女性客が来ました。

車掌さんがどうしました?と聞きます。

女:「ケンチョー・・・マエ?」

おっとっと、こちらの女性、外国の方だったようです。
停留所にいたときは外見だけでは気付きませんでした。
(若い女性は全員チェック済みです。)

車掌さん、全然対処できません。
そこでつい、“Prefecture office?”と言ってしまいました。
彼女の注意が僕に向きます。

ここで車掌さんを「うっかり八兵衛」、外国の女性を「エリザ」としましょう。
他意はありません。黒髪だったのでエリザ・デュシュクが思い浮かんだだけです。

エリザ:「What?」
***:「A prefecture office?」

県庁は正しくは“a prefectural office”です。
まあ、伝わったので良しとしますが、
エリザの意図はちょっと違っていたようです。

エリザ:「No no no... Hirosaka?」
***:「Sorry, I'm just a stranger.」

地図を見せて他の地名を指さしますが、
僕も初めての土地で知ってるわけないので
「見知らぬ土地なのです、ゴメンナサイ。」と答えます。
間違っても“stranger”=「奇妙な人」ではありません。
ただ、“just”ではなく“quite”か“complete”の方が適切だったようです。

エリザの質問が変わります。ここからは会話の意味だけ書きます。

エリザ:「(県庁前で降りるには運賃はいくらですか?)」
***:「だそうです八兵衛、いくらですか?」
八兵衛:「200円です。」
***:「Two hundred yen.」

これは僕にも分かりました。運賃は“fare”です。
八兵衛が直接答えたら爆笑でしたが、うっかりしてました。

エリザ:「(今払えばいいのかしら?)」
***:「No, when you drop out... well... (confused)」

これではいけません。
人間どんなにツラくてもドロップアウトしたらそこで負けです。
安西先生も言ってました。
とっさに慌てふためいて“drop in”(投下する)と
“step out”(外へ出る、降りる)を混同してもいけません。
たった一瞬の判断ミスでダメ人間まっしぐらです。

それでもエリザは僕が言おうとしたことを分かってくれました。

エリザ:「(そう、じゃあ降りるときでいいのね?)」
***:「Yes, yes.」

結局、僕も“YES”しか言えない日本人だったみたいです。
ちなみにこのときの“降りる”は“drop off”、“step off”、“get off”です。
とにかく“off”なのです。

八兵衛:「県庁前、県庁前です。」

エリザの方を見やると降りる準備をしてます。
さすがです。八兵衛の日本語はエリザに届きました。

降りるとき、エリザはビッグ・スマイルで“Thank you very much!”と言ってくれました。
僕もとっさに“じゃぱにーず・えしゃく”で「ゆあ、うぇるかむ♪」と答えます。

よく考えてみると、エリザが知りたかったのは「県庁前までいくらか?」ということだけでした。
ですから“prefecture office”や“stranger”なんてのはどうでも良かったのです。
最初に“May I help you?”とでも聞くべきでしたね。

夏の日の、見知らぬ土地での異国の女性との一コマでした。


なんせ、帰国子女でもない僕が生きた英語を話すのは
実に中学校以来でございまして、かなりドキドキでした。
でも、英語で会話をするのは好きなのでなんとかなったと思います。
エリザも訛りがなかったし、僕の発音も分かってくれました。
念ずれば通ず、みたいな。あ、違うか。

とにかくあきらめないでいれば、いつかは意志が通じるもんです。
“drop out”したら負けなのです。
それは全てにおいて言えることですね。



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