speak like a...child

 

 

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足は28.5cmです。 - 2002年07月20日(土)

「おばあさんのお口はなんでそんなに大きいの?」
「それはね、おまえを食べてしまうためだよ。」

オオカミは名言を残した。

彼の失敗は咀嚼せずに丸飲みしてしまったことだ。
食べてすぐ寝てしまい、胃で消化もできず、猟師に腹を切り開かれて、
助け出された赤ずきんの代わりに石を詰められ、井戸に落ちて溺死する。
おいおい、猟師さんよ、そこまでしなくてもいいんじゃないかい?って気もする。

オオカミはこうも言う。

「僕の足はなんでこんなに大きいの?」

−それは貴様を踏みつけて動けなくするためだよ。

「僕の手はなんでこんなに大きいの?」

−それは貴様の首根っこを捕まえるためだよ。

「僕は肌はなんでこんなに白いの?」

−それは貴様の返り血が美しく映えるからだよ。


しかし、オオカミは猟師に殺される運命を変えることはできない。
いったい猟師はいつ、どこから現れるのだろう。

アーマライトM16を携え、
スイス銀行に口座を持つ、
そんな猟師に出会いたい。


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赤ずきんの話は時代によって何種類か存在していて、
日本で幼児向けに伝えられているのは赤ずきんが助かる話です。当然。
これは19世紀のグリム童話を基にしているのですが、
以前からフランス民話のよる赤ずきんが伝えられていて、
17世紀末にはシャルル・ペローが伝承を基に赤ずきんを書いています。
しかし、これらはいずれも赤ずきんが助からないお話です。
それどころか赤ずきんがおばあさんの肉を食べてしまう話もあります。
つまり、グリム兄弟が書くまでの百年余りは悲劇的なお話だったのです。

また、赤ずきんは後世にいろんな文化を残しています。

おばあさんに化けたオオカミは訪れた赤ずきんに葡萄酒(ワイン)を
もてなすのですが、これは精液の隠喩と言われています。
また、赤い頭巾は処女の象徴とされるようになりました。

オオカミの腹を留めるのにピンを使ったのも実は伏線が張ってあって
非常に象徴的なのですが、これに関してはフランス民話を参照してください。

余談ですが、椎名林檎の『真夜中は純潔』という曲がありました。
僕にとってはスカパラと共演したっていうだけでも興味深い曲だったんですが、
この曲の歌詞の中にも「葡萄酒」がわざわざルビをふって出てきまして、
これも同様の隠喩表現を遣っているものと思われます。
そう考えるとけっこう強烈な描写をしていますね。
初めて聴いたとき、ハッとして歌詞を確認しました。
こういうとこがサラッと出てくるあたりが彼女のすごさなんでしょうね。

あ、そうそう、
時代と共にいくつかの変遷を遂げた赤ずきんですが、
教訓である『かわいい女の子は優しいオオカミに注意しなさいよ』、
こればっかりは変わらないようです。





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