日の想い
幸花



 言葉が

昔割と木に登ることが好きだった気がする。
高ところが苦手なくせによく同じ木に登った。
登ったところで何をするわけでもなく、
同じ位置で同じような風景を見ていた。
恐ろしく自分の中が空っぽで悲しいのに
高いところが怖いからだって何も考えないようにしていた。

最近久々にこの感覚を体験した。
今照らし合わせて考えてみると
昔木に登ったのは単に泣きたかっただけなんだね。
言葉が零れ落ちていく感覚には耐えられなかったから。


そうして長いこと気持ちに蓋を閉ざしてしまっていたら
人の気持ちに気付けないんだなと思う。
打たれ強いこと臆病なことの距離は意外と近い。

2006年05月28日(日)
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