『スウィート・バイエル』
モクジ | 今ヨリ、カコへ | 今ヨリ、ミライヘ
「麻瑚」 ご主人様が優しく呼びかける。顔を正面に向け、そっと目を開く。 「麻瑚、他の男を引き合いに出して、要求はするな。いいな?」 仰向けになったまま、私が軽くふくれっ面になる。 「……してないもん」 どうかな?というお得意の表情で、ご主人様は微笑んでいる。 「してないもん。そういう意味じゃないもん」 強気で喋ってはいるものの、目は涙ぐんでいたりする私である。
 胸のことで揉めたのは、ちょっと前のこと。 私の胸は小さい。 ゆえに胸についてのことは、私にとってかなりのコンプレックスだ。 中学生のころ、家に遊びに来た竹馬の友が私のブラを見て 「本当にちっちゃいね〜」と笑った。 いまではもうそんなのもネタにして笑えるけど、思春期にはさすがきっついよね〜。 ま、中学生の頃より胸は成長したけど、 それでもやっぱり貧乳……いや、微乳であることには間違いない。 でも今ではすっかり微乳もネタにして爆笑出来る私である。 「小さいけど、形はいいよな」 「そうですか? でも最近だめですよ〜。トップの位置がかなり落ちてるし。 本当は、この辺にあると理想的」 私が自分の乳房を軽く下から支えて、少し持ち上げる。 「うん……そうだな。まぁ、最近私もそう思うが……」 「あー、ご主人様だって、垂れたって思ってるじゃん!」 「なんだよ、人が褒めてやったのにそういうこというからだろ」 「う〜(苦笑) でもほら、ちょうど手にすっぽり収まるサイズでいいでしょ?」 「いや、それならもう少し大きいほうがいいだろ」 ご主人様とは、こんな会話も時々していた。なのでちょっと油断していたかもしれない。 今回、ご主人様と何の話から移行したのか忘れたけど。 私の胸の話になったわけで。 そこで私が 「いいもーんどうせ胸ちっちゃいもん。 私の胸なんて、最初の彼以外、ほとんど誰も触らないもん〜」 とメール発言。 実際に、私の胸を好んで触る男性は最初の彼以外いなかったのだ。 前のパートナーである男友達なんて、1回のsexで一度触れるぐらいじゃなかったかな。 揉まれた記憶がない。 ご主人様も触れはするが、やはり乳房より乳首であった。ご主人様の趣味かもしれないけど。 その私の発言が、ご主人様のお気に障った。 携帯からメールが届く。 「最近そういう発言がいくつかあったが、今回のは少し気になった」と。 どれ?と本気で疑問に思い、尋ねたら 「最初の彼以外、胸を愛撫しないということだ」 あれはネタです。というような事を書いてお返事したけれど…… ご主人様からはもっと厳しい言葉が届いた。 「他の男を引き合いに出して、要求をするな。癇に障る。 してほしかったらきちんとお願いしろ」 私は素直に書いた。 「そういうつもりじゃありません。胸のことは、私にとってはネタです。 要求なんてしていません。 だって私の身体なんて、男の人から見て何一つ面白くないこと、自分で良く分かっているから」 ご主人様からお返事は 「私は気に入っている。だから麻瑚はそれをおとしめるようなことを言うな」 だった。 切り札を出されてしまった。 私は一応奴隷なのだ。 ご主人様が良いとおっしゃっていることは、自信を持たねばならない。 そのために私は、画像公開に踏み切ったという部分もあるのに。
 逢瀬にて。 ご主人様は私に言う。 「麻瑚、他の男を引き合いに出して、要求はするな。いいな?」 そんなつもりはないけれど、私の発言はご主人様にはそうとれるのだ。 ご主人様は間違ったことを言っているのではない。 むしろ、間違っているのは……自分の身体にコンプレックスをもち、 ご主人様が褒めて下さるのに、認めずおとしめている私自身なのだ。 ご主人様は続ける。 「麻瑚は誰のものだ」 「ご主人様のもの……。麻瑚は全部、ご主人様のものです」 ちゃんとわかってるじゃないか、そう満足されたようにご主人様が優しく微笑む。 「麻瑚のおまんこも、アナルも、胸も、全部私が可愛がってやる、いいな」 「……はい」 ご主人様は涙ぐんでる私に「よしよし」と言うかわりに、ペニスを律動させた。 そして、心地よい律動の中、私が本音を。 「あのね……好きなの」 「ん?」 「本当は、胸を……触られるの好きなの」 「うん」 「揉みしだかれると、凄く感じるの……」 誰にも、どこにも言ったことがなかった、私の好み。 ご主人様は「分かってるぞ」とでも言うように「うん」と言いながら より私の奥へと進めた。 男友達に、私のヴァギナのとある部分が「自分好みだ」というようなことは 言われたことがあったけど、 今まで誰からも、身体を認めてもらったことはない。 不完全で不均衡な身体だけど、 「私は気に入っている」という言葉をことあるごとに言って下さるご主人様。 本当は巨乳好きなのに、 小さな私の胸に何度も「形、いいよな(笑)」と言って下さるご主人様。 その言葉を嬉しいと思いつつ、いつも素直に受け入れない私。 それを分かっていて笑うご主人様。 よく「おっぱいの写メを送れ」と命令を出されてた、ご主人様。 身体が起こされる。 ご主人様の上に座る。 ご主人様は私の胸をじっと見つめると 「×側の方が大きいよな。私の揉み方が片寄ってる証拠だな」 そんなことを言って、胸に手をあてそっと撫でると……やがて激しく揉みしだいた。 「あ……」と声を上げ、そのままご主人様の後頭部を掻き抱く。 「またひとつ……ご主人様に、性感帯が……ばれちゃった」 私がそういうと 「麻瑚は、私が触るところ全てが性感帯だろ?」 と笑われた。 ……たしかに、それもあるかも(笑) 《 2005.02.05 12:22 記》
--***--
|