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2003年10月15日(水) あったかい。

昨日の晩、
私はやすくんに
「帰るの、やっぱり来週まで延ばすよ」
と告げた。

やすくんはいつもと同じ笑顔で私の言葉を聞いてくれた。
しばらく考えた後、

「いや、やっぱり明日行ってきな」

と、優しく、でもきっぱりと答えた。


まだ落ち着かないこの状況から一人離れるわけに行かないといい続ける私に

「大丈夫。俺、どうにかするから」

と、笑顔ではあったけど、強い目で私にそれだけ言った。



朝。

いつもより早く起きて、駅まで向かう。
いろいろ言っておきたいことがあったんだけど
お店の事、家族の事に対する不安と
しばらく離れ離れになる寂しさがごちゃごちゃになって
なかなか言葉が出ない。
やすくんは、私を送った後ゴルフに出かけることにしていたので
「楽しみだなあ」なんていってるんだけど
その後の言葉がお互い続かない。

やすくんの電話が鳴る。

ちょっと前までお世話になってた会社の先輩。
近況を報告したり、会社の様子を聞いたりしている間に
駅についてしまった。


電話を切るに切れないやすくん。
私は一人で荷物を降ろし、笑って手をふって
小さな声で「いってくるね」と言った。
やすくんは電話で話しながら
「ごめん。気をつけて」と
声を出さず口だけをそう動かした。



ちゃんと見送ってもらえなかったのは寂しかったけど
ちゃんと見送ってもらっちゃったら、きっともっと寂しいだろう。
そう思うと、突然の先輩からの電話がありがたかった。

新幹線がホームに入ってきて、そろそろ乗り込もうかと言う時に電話が鳴った。

やすくんだ。

さっきの事を謝った後、
私が口をはさめないくらい次々にやすくんが言葉を繋げた。
「無理せずに、なんかあったら途中で降りて休みなよ」
「途中で気分が悪くなったら、近くの人に助けてもらいなよ」
「階段は端をゆっくり下りていきなよ。転んだら大変なんだから」
「こっちの事は心配しないで、思いっきりリフレッシュしておいで」
「ききはこっちにいる間ずっと、回りのことばっかり考えてたんだから
 この1週間は自分のためにゆっくり過ごすんだぞ」

・・・ここには書ききれないほど、本当に次々と。

私はただ「うん」「うん」としか言えなかった。
次から次へと出てくる言葉からやすくんの思いがどんどん伝わってくる。
こんな風に色々なことを言ってくれたことはなかったから、余計。
鼻の奥がツーンとしてきて、涙で視界がぼやけて来て
途中から何もいえなくなってしまった。

「・・・きき?」

ようやく、やすくんが私の様子に気づいて、声をかけてくる。

「・・・わかったから。私は大丈夫」

思ったように声が出なくて、かすれたような声でそれだけ言った。


「色々大変な時に、ごめんね」

そう言ったときに、涙が思わずこぼれた。

「一緒にいたらそうでもないのに、ちょっと離れると心配になるんだよ。
 でも、こっちは大丈夫。自分の体だけを大切にするんだぞ」

耳からやすくんの声が体中に流れて、なんだかあったかい気分になる。


ごめんね。
いってくるね。

新幹線の旅は楽しかったし
途中で買った駅弁は美味しかったし
懐かしい風景を見るのはやっぱり嬉しかったし
そして、やすくんがそんな時に隣にいないのはやっぱり寂しかったけど

今も心はあったかいまま。

やすくんの言葉が胸で響いてるから。


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