よるの読書日記
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『柳生十兵衛死す』上下<山田風太郎/毎日新聞社> タイトルどおり死んじゃいます。勿論最後ですけれども。 しかし何だかな、前2作品とどうも印象が違います。 はっきり言って主人公への感情移入ができにくい。 何故かと申しますとそれは十兵衛が二人、という設定から 来てると思う。もともとの主人公江戸十兵衛とその祖先が、 謡曲『世阿弥』に引き寄せられて時空を越えて入れ替わってしまう。 そして同世代の世阿弥と、謡曲の作者である子孫もまた。 更に室町時代では一休少年とその母上に足利将軍と粗暴な息子、 江戸時代では明正上皇が絡んで一悶着も二悶着もあるのです、が。 こう書くとややこしいのに、読んでいて混乱することがないんです。 不思議でしょ。ただ、熱い男十兵衛がわりと好きだった私でも、 二人は多いと感じたようです(笑)。
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