よるの読書日記
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| 2001年09月09日(日) |
ゲド…戦記。児童文学? |
「さいはての島へ」「帰還」<ル・グウィン/岩波書店> 帰還<同上>。 実は両者が書かれる間には16年の歳月が流れております。 物語上ではほぼ直後のお話なのですが。 いやー参りました。 ゲド戦記ってどうも邦題らしくて、3巻、4巻のゲドは はっきりきっぱりおっさん(ーー;)。 特に4巻では前半はほとんど噂話にしか出てこないお人。 読む側には2巻のテナー、3巻ではアレンにどうしても感情移入して しまうように書かれている気がする。 もともと作者の意図が魔法が息づき竜の住む世界アースーシーを 描くことにあったとすれば、ゲドをタイトルに 入れちゃったのは失敗だったかも…。
ところで児童虐待の被害者が登場人物で出てくるのですが……。 まさか対象年齢小学6年、中学生以上の本で 「強姦」とか「処女じゃない」とか言葉が出てくるとは。 8歳の女の子が2歳くらいの重さしかなくて、言葉もほとんど知らず、 肉親にレイプされたあげく焼き殺されかけて顔から腕まで ひどいやけどを負い片目を失明って、……物語とは言え、 中学生のときに読んでたら重かったろうなぁ……。 今でさえ胸が痛むもの。 こういう惨い話が現実にもあるという事実はつらいことです。 だからって何でも規制して過保護にしてないで、 犯罪や戦争がどんなに愚かしくて人を傷つけるか ちゃんと子供に教えないと、真の勉強にはならないと思う。 そういう意味では、これを書いた作者も、変に 「いたずら」とかなんとかごまかさなかった訳者も偉い。 グリム童話だって本当は恐ろしいのだ。
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