守りたいものは、君の笑顔。 滅多には見せてくれないけど。 恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑む。 自分にだけに向けられる笑顔。 他の誰にも見せない。
”幸せ”とは、こういうものなのかもしれない。 日常的で、いつもあって。 気付かないようなもの。 でも、それが本当は大切で……。
「何考えてんだ」 考え込んでいる乾の顔を覗きこむ。 「海堂のことだよ」 「バッカじゃねーの?」 海堂は文句を言いながらも、顔を赤らめる。 そんな顔で怒られても、説得力にかけるよ? 言ったら怒るだろうけどね(苦笑) 「うん、自覚してる。俺さ、海堂といれて幸せだなって思ってさ」 こういうことを言われるのを苦手としていることを知りながらも、つい言ってしまう。 海堂に性格が悪いと言われるのも、あながち間違ってはいないと思う。 でも、言わずにはいられない……。 それくらいに、愛しくて。 どんな言葉で表しても、伝えても足りない。
ふとした時、不安になってしまう。 いつか、この腕の中から消えてしまうんじゃないかって…。 そんな不安を掻き消すかのように、海堂を抱き締める。 海堂の温もり・心臓の音が聞こえる。 ……とても、心地よい。 この場所を失いたくない。 負ければ負けるほど、この不安に押しつぶされてしまう。 勝たなければ。 いつしか、そうやって自分を追い詰めるようになってきたのも嘘ではなかった。 それでも、君の笑顔を見るたびに救われる。
君は 俺がまたレギュラーおちをしても 手塚に負けようとも 俺のことを嫌わないだろう………。 自惚れてると言われるかもしれないけど。 それくらいの自信がある。
でも、それに甘えたくない。 出来るなら、君の横に立つのはコーチとしてではなく。 選手として立っていたい。 俺が負けても、君は嫌わないけど。 悲しむだろ? 俺は、君の悲しむ表情(かお)は見たくない。
君に、尊敬されるような先輩で・選手で。 そして、最高の恋人でありたいから……………
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