THOKOの日々

2016年12月24日(土) 垂乳根の母

今の職場にいる間に目に止まる事を記しておこうと思う
忘備録のような夢の種のような記録

しかし、このエンピツサイトは新規募集はしていないようだが
いつか突然消失する事もあるのかもしれない
そうしたらこれまでの長の記録をどう取り返したらいいのやら…
対策も一考せねばなるまい

70代のその利用者ははっきり言って美人
顔立ちも姿もどちらかと言えば整っている
そのDNAは息子に見事に引き継がれている
同居人は40歳の長男、独身である
どうやら特定の彼女がいるようだ
その利用者は認知症の進行が著しく施設への入所を考えているという話が出たのがかれこれ半年以上前
他のどの利用者よりも目立って進行が進んでいる
一年ほど前は愛想もよく、冗談を言っては笑いすぎるくらいに笑っていた
徐々に認知症は進行していく
彼女は来所してもどこか怯えたような眼をするようになった
そして、他の席で他の利用者たちが笑っていると自分がばかにされていると感じるようになったようで、急に粗野な言葉を怒鳴るように口にするようになった
「うちはにーちゃんが爪切ってくれるから」
などと、自慢げに口にしていた姿はもう見られない
掛け合い漫才のようだった男性職員とのやりとりもなくなり、今はむしろ男性と見ると食って掛かるようになった
「よその女にへらへらしてお前は何様じゃ」
と、言ってしまうほどの暴言ぶり
職員には見えない自宅での息子との生活も垣間見えてしまう
やさしさは時に非情な罪である
抱え込んで介護する事だけが、家族としてのありようではないのだろう
短期間での目覚ましい進行と心理の変化に職員も戸惑う程だ

きっと「捨てられる」ことを予感している
だからこそ、怯えている
決められてしまえば、受け入れるしかなくなる
けれど、その決定権は自分にはないのだ
その事をうっすら感じている
その危うい立ち位置
安心できない状況
それこそが、本人を不安定に貶め急速なまでの症状の進行を後押ししている

ドライなようだが、今の状況は家族にとっては良いとは思えない
最後まで家で一緒にと決めているならまだしも
入所を検討しているならば、さっさと預けてしまうほうが双方の為ではないか
ここでそのありがちなやさしさが彼女を苦しめているのだ
区切りをつける事はとても難しい事だ
たやすくはない
親子の情もあって、他人が知りもしない歴史もあって
捨てきれない気持ちもある
だけど、入所は捨てる事とは違う
お互いにとっての未来を描く事でもあるのだと思う
この家族の場合は

彼女を怯える暮らしから救えるのは息子ただ一人だというのに
そんな優柔不断な事では彼女にも逃げられるのではないか
などと余計なお世話な事も頭をよぎる


 < 過去  INDEX  未来 >


THOKO