伝わらない事が多かった だから行き違いが多かった その怖さを知っているからこそ 理解のために言葉がある
ある家庭があった 父がいて母がいて娘がいて息子がいる 父は口数の少ない人で ヘアスプレーが空になるとテーブルに置いておくような人だった 母は男勝りだがヒステリックぎみでそれでも父に逆らえない人だった 娘は饒舌で気の強いもろい人だった 息子はおとなしく内にこもりやすい人だった その家庭は望ましくはない方向で崩壊する 生き方を変えれなかったゆえに父は言葉数少なにして世を去る そしてその理由は推測されることしかない 母はよそに救いを求めてそれに息子もからんで自分で自分の首を締めてしまう始末 娘は娘で父の残したものを清算する為にノルマに負われる仕事で時間を費やす そしてその事を誰も知らない 息子は何も知らずに少しずつ変わっていく自分を喜んで無邪気なもの 足りなかったのは言葉 それさえあれば歯車はこれほどにこの家庭を壊すこともなかっただろう ほんのちょっと手を伸ばして言葉というカードを手に取ればよかっただけなのに
その少しの欠けたものが時間をかけてすべてを壊してしまう事もある
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