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「夢・出逢い・魔性」/森博嗣
2007年04月29日(日)

 まぁ、どこまでタイトルと中身に関連があるのかと思いながら読んだけど、“TV Show”、あるいは“夢の中の幽霊”という意味ではある程度か。
 今回もやっぱり犯人には「え〜?」と思ってしまう部分があったように思う。だからそこに突っ込むのはやめよう。もはやミステリとしての評価を捨てているような。

 以下は珍しくネタばれです。お気をつけて。

 今回のポイントは稲沢探偵の性別に関するトリックだろう。登場シーンの記述。「稲沢真澄と会うのは、三年ぶりだ。保呂草が海外にいるとき、……。そのあと、一週間ほどずっと彼と一緒だった。」の彼。記述者が保呂草だという設定から、普通は「(保呂草は)ずっと彼と一緒だった。」と読みたくなるが、主語が抜けている以上「(稲沢真澄は)ずっと彼と一緒だった。」と読むことができる。そしてこの場合後者が正解なのだろう。
 このようなトリックは、実は森博嗣の常套手段ではあるが、普通に読んでいるとまったく気にすることがない。しかし、最後の最後で「え、そうだったの?」となってしまうのである。

 いつものことだが森博嗣作品では、事件のトリックより、作品のトリックに気を遣うのだ。


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