かえるの日記&雑談

2007年04月27日(金) 「ブレンダと呼ばれた少年」

図書館の女性問題関係の本棚でふと眼にとまり、借りて読んでみたら、個人にふりかかる災難の中でおよそこれぐらい残酷なこともそうないんじゃと思えるようなハードな内容。

全く正常な一卵性双生児の片割れの男の子が、赤ん坊の時の手術ミスでペニスを切り落とされてしまい、周囲のおかしな認識と野心的な精神科医の思惑で女の子として育てられある程度の性転換手術までされ残酷なカウンセリングを受けさせられ続け、しかし『自分は男だ』というアイデンティティは失われることなく、ようやく十八で本来の性に従って生きることを認められる、と、ようやくこの辺まで読み進められた。

半陰陽とかトランスセクシュアルの人と違って彼は最初から男性以外の何物でもなく性的倒錯すらなかったというのに、なんでここまで捻じ曲げて育てられなくちゃいけなかったのかと気の毒で仕方がない。

さて省みるに私は自分の性別にギモンを持ったことは一度もないが、まー思春期にありがちなように男の子になりたーいなんて思ったことぐらいはあって、「じゃあお前明日から男ね、名前も学校の名簿も服装も持ち物も全部とっかえるしいずれ手術でカラダも男*モドキ*に作りかえるから」と言われて、これほど強いジェンダーアイデンティティを持ち続けることは出来たかしら……

とか色々と考えることの多い一冊でした。


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える夙川