足の靭帯を切って復活したバレエダンサー佐藤ユカリさんの自伝本。 故障から立ち直るまでの苦労談が中心かと思っていたら、確かに手術・リハビリを経て再び舞台に立つまでのあれこれも書かれていたが、ロシア人と結婚してモスクワに住むあたりのエピソードがえらいこと面白かった。 いつ当局に目を付けられて会えなくなるかもしれないからと二十歳のユカリさんに電撃プロポーズする三十七歳の旦那さん(当時ボリショイのプリンシパル)現地での披露宴に備えて少しずつ酒や食糧を準備していたら、当日レストランの従業員にお酒を殆ど飲まれてしまったり、住宅事情が悪い故に、何年も前に離婚が成立してても前の奥さんが旦那と一緒に住んでいたり、「ま、そんなもんだ」と分かってしまえばそれまでなんだろうけど、ほんの10年ちょい前までロシアってほんとにこんなだったのね……
あとロシアにはお弁当の習慣がなくて、一度だけ旦那さんに息子の幼稚園のお弁当を頼んだら【黒パンとボルシチ】だったというネタ、じゃないエピソードも面白かった。どんだけマイペースやねんロシア人!
☆唐突に小ネタ〜U.N.C.L.E.カフェテリアにて〜 「おや今日はランチボックス持参?どうしちゃったのイリヤ」 「今週は金欠なんだ」 「しかし君が料理なんて――って、黒パンとリンゴと水?」 「水じゃなくてウォッカ。冷蔵庫にあるもので、持って来れそうなのはこれぐらいでさ」 「やれやれ泣けてくるね。がんらいお弁当って云うのはもうちょっとこう……」 「例えば何だよ」 「ピーナツバターとジェリーのサンドイッチとか」
それも何だかなあ、とロシア人はアメリカ人の顔を見ながらこっそり考えた。
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