TALK TO MYSELF IN MIDNIGHT 

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路地裏にて

冷たい雨に打たれながら目覚めて
身体を起こす

ずきずきと痛む頭に眉を顰めながら
壁に寄りかかって座ると
視界のぼやけた街が見える

ああ?
そうか
俺は

口内に異物を感じて
唾を吐く
赤い唾の中に混じるのは

折れた歯だった

・・・っクショウ
いてぇ

痛みに気をとられて
何にも思い出せない

指一本動かすのも
億劫だ

それでも
胸ポケットに手を伸ばして
煙草を掴むと最後の一本だった
やっとの思いでライターを探しあてて
火をつける

ふぅ

眉を顰めながらも
煙を吐けば
痛みが和らいだような気がした

壁に頭をつけて
空を眺める

顔にあたる雨粒が
沁みつつも心地よかった

俺は・・・
ああ、酒を飲んだんだっけ・・・
それから後は思い出せない

君の幻とダンス

ふと頭の中に閃いたフレーズに苦笑いして
痛みに三度眉を顰める

短くなった煙草を
地面に押しつけて立ち上がる

俺はもう自由だ



author:蒼井冬星 HOME  
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