世を忍ぶ仮の日記
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2004年12月25日(土) 老弦

まるで燃え尽きる間際の線香花火のような音がする。
高音のF。
奏でる度に、切れる瀬戸際の悲鳴が聞こえる。
あと何度、Fは保つのだろう。
最後の一音、Fが無ければ曲が終わらない。
ぎりぎりの、悲鳴を聞きながら、私は痛めつけるようにFを叩く。
切れる間際のその音は、私に懐かしさを感じさせる。


弦1本1万円。
中学生の頃に5回くらい切って調律師に「本当に上手なピアニストって弦切らないんですよね」と嫌み言われた痛々しい思い出が蘇る(痛い)。
上京してえぐえぐ泣いてたら(また切った)東京の調律師は「寿命もありますからね」と笑ってくれたのだがだいたい3回目くらいで「きっとそのうち切らなくなりますよ」てフォローに切り替わったかな。
しばらく弦切って無い。
お金無いから。
怖くて叩ききることも出来ない。
下手と言われる非難の声が怖くて思うがままに叩ききれないなんて、最後の一音に心を込める意味が消える。





何故弾くの。
何故歌うの。
何故書くの。
何故、生きるの。
どれも同じ問いだ。
答えなど無い。
どうせ、死ぬのだから。


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