| 2002年11月25日(月) |
『幼年時代』/『性の目覚める頃』 |
久しぶりに電車の中で読書に勤しむ。 とはいえ、別に個人的な趣味での読書ではなく、 月末にある近代文学会における予習がてらの再読である。 (でも、この学会も午前中しか参加しないことになったので、 この作品の発表はどうも聞けそうにないのがミソである) 作者は室生犀星、いわゆる地元の大スターの私小説。 大学2年の時に日文に所属して、最初の近代文学の講義で読んだ作品。 それまで室生犀星=詩人のイメージばかりが先行していたので、 彼が小説を書いていることをこの時まで知らなかった。 今思い返せば、ちょっと恥かしい思い出である。
個人的には『性の目覚める頃』のほうが面白い。 田舎暮らしの、思春期を迎えたばかりの一青年が、 将来、詩人として大成することを夢見つつも、 女性への関心も断ち切れずに煩悶する様が滑稽なぐらいである。 「自分は必ず何者かにはなれる」と信じて疑わない真直ぐさと 未知の世界に属する異性への異常なまでの関心とが交錯する様子は 現代の若者には・・・もう見られないかもね(苦笑) 昔はもっともっと異性との交際のタブーが厳しい時代だったから。
この小説には、早世の天才詩人表悼影が登場する。 オクテな犀星に対して、表氏はなかなかの色好みである。 犀星はこの奔放で優しい友人を本当に好きだったのだろう。 二人の青年が駆け抜けた青春時代が今も鮮やかにそこには確かにある。
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