| 2006年01月08日(日) |
硯に棲む白 // そのあと |
幾分すっきりした顔になったタガネが、「今度ちゃんとした硯を作ったら、真っ先に持ってくるよ」という言葉を残して帰った後。
「…しっかし、まさか夕刻近くまで止まんとは」
杯を口に持っていきながら、化野は呆れ混じりに呟いた。その目は庭の方へと向けられている。今も地面はところどころが白い。
数万年ぶりに硯から解放され成層圏へと戻った「蟲」は、辺り一帯に結構な量のあられを降らせた。降雪の時期にはまだ早いが、日が暮れた今、明日の陽を見るまで全部が溶け切ることはないだろう。
「なんせ数万年の飢えから解放されたんだ。無理もないさ」
ギンコは縁側に腰下ろして、薄らと笑みすら浮かべながら酒を煽っている。この程度の事象で動揺するような神経はとうに捨てたし、何より化野に貸しを作った。悪い気分じゃない。顔を上げたギンコは、不思議な色の蒼目を細めた。
「おー。屋根の穴から星が見えるぞ。風流じゃねぇか」 「呑気なことを。修理にいくらかかると思っている」 「蔵に眠ってるもんを売り払っちまえば、村中の屋根だって直せるだろ」 「……」
顔色一つ変えず言ってのけるギンコに、化野は二の句が継げなかった。異形のモノをこよなく愛している自分がそんなことは絶対にしないとわかっていながら敢えて釘を刺したのだ、この男は。 言われるまでもなく、己の迂闊さは骨身に染みている。村の子どもたちが命を落としかけたのは、化野が蔵をきっちり封じていなかったせいだ。…それでも。
「ギンコ、今回のことはオレも重々反省している。蔵は村の者が簡単に入れんようにした。だからもう何も持ってこないなんてこと言わんでくれ、頼む」 「そうだな…。その代わり、次持ってくる品は値が張ると思っとけよ」 「お前が負けたことなんて、ほとんどないだろうがっ」
化野がモノクルの奥から睨みつけると、ギンコは「さあなあ」と惚けた声で視線を逸らした。…オレも真っ直ぐな性格とは言い難いが、お前も大概食わせ者だ。化野は心中でそう毒づきながらも、次に目にする珍品と失われた珍品とに思いを馳せずにはいられない己の性を呪った。
「それにしても惜しいことをしたなー。あの硯は」
懲りもせずもう何度目かになるかわからない未練を覗かせる化野に、ギンコは夜空を見上げながら抑揚のない声で呟いた。
「蔵、燃やすか…」
「硯に棲む白」。実は全然覚えてなかった。読んだ記憶もないです。オリジナルかと思った。「蟲師」って記憶がある回とない回が、極端なんですね…。 「やまねむる」は「筆の海」の次くらいに好きだったので、見られて嬉しかったですよー。2話連続って発表しておきながら、公式サイトには2話目が何か書いてないんだもん。何かと思った。
ないねえ、残念ながら…
見事なもんだ なあクチナワよ
そう呟いて山を見上げるところが大好きです。 鐘の音が聞こえてきそうだ。 ヌシを殺すエピソードも好きだ。 あんなにでかい蟲がいることも驚きだ。
そうそうオダジョーで実写化なんですよ。 私は二次元化には反対しませんでしたし、三次元化にも反対しませんよ!でも願わくば勢作委員会の面子には口を出して欲しい。だってアニメの質がこんなにいいんだもん…「作画のクオリティー」とか「作画監督」とか口にし始めたら立派にヲタクだよね…。(うん…) 化野先生は誰になるんだろうなー。いや出てくるのかそもそも。出てきてください是非。ギンコとやりあえるのはアナタだけなのです。
蟲師の小説探してるんですけど、この広いネット海でほとんど見つからな…。誰か教えて下さい…。素晴らしいギンコを、誰か…。
そういや「筆の海」はまだ出てきて無かったね!!(万歳!!)>私信
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