2004年10月16日(土)  海の向こう、向こう

『赤鬼』。

すごかった。
すごい舞台を見てしまった。この舞台を見るために今まで舞台を見まくってきたのかとすら思った。役者と演出家って本当にすごい。もうすごいとしか言えない。

役者。
野田秀樹・大倉孝二・小西真奈美。3人が色んな役を演じ分けていると頭ではわかってるのに、3人しかいないとは到底思えない。
特にね、野田秀樹。何なんだこの人。「知恵遅れのトンビ」で「自分勝手な村の女」で「馴れ馴れしい裁く男」。野田秀樹なんて人間はいませんでしたよ。面影がなかった。
大倉孝二も見られてよかった。この人が心から叫ぶと、こっちが辛くなるくらい切なくなります。ああアクマの人だなって思いました。笑いの間も言い回しもかなり独特なのに、それでいて誰にでも笑いのツボがわかるんですよね。それって才能だと思う。
小西真奈美はココリコを見て可愛さを武器にするタイプではないと知っていたので、いい意味で予想通りというか…骨太な演技でした。女性が女性を可愛いと思う時って、可愛い演技をしている時じゃないと思う。必死に生きている姿があまりに必死で、いじらしくすら見える時だと思うんです。

演出。
私が思う演出の醍醐味って「ない」ものを如何に「ある」ように見せるかなんです。どこまで観客に錯覚させるかなんですよ。…「赤鬼」の演出ってとんでもないよ。小さな小さな木製のステージが、ほったて小屋に、洞窟に、森に、平野に、海に、船に、砂浜になるんですよ。しかも360度囲んだ観客の目の前で、わずかな小道具を動かしてるだけ。その動きにすら意味があるから、きっと違和感も無駄もないんだと思う。

今までアンコールは出演者を称えるために拍手してたんですけど、ぼーっとして拍手をすることしか思いつかないというのもあるのだと知りました。
しかもこの舞台、余韻が効いて…。それでまだ興奮して眠れないんですけど。「ライフ・イズ・ビューティフル」や「千と千尋」を見た後に似てるものがあります。終わってからすごく、くる。余波みたいなものが。何なんだろう。役者の熱に当てられたってこういうことだろうか。


「ガラスの仮面」の世界は現実には無理だと思ってました。
チケットが全然手に入らなかったのも無理はない。


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cerri ■