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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
うちの母が言ったなぞの言葉。正しくはホッテントット。 出発前に二人は温泉に入っていた。シェナは「チェックアウトを遅らせておいた」と二人に伝えてどこかに行ってしまった。空き時間で何もする事がない二人は昨夜入り損ねた温泉に入ることにした。 「シェナさん、牛乳も置いて行ったよ」 クレッセは湯につかりながら冷たい牛乳を飲んだ。 「さっきあれだけ食べたのに」 「ま、これは別腹。シェナさんって、何者なんだろうな」 「さあ」 シェナの言っていたことが気になる。確かにこの宿が強い結界に守られている事には気づいてた。そこは全国チェーンを誇るピジョネ、さすがだと思う。 「嫌な予感がする」 「同感」 セントもまた、牛乳びんのふたを開けた。 温泉地帯のピジョネの一番いい部屋がこんなにもいいとは思わなかった。それもタダだ。とても満足して、クレッセは湯上がりの牛乳を飲んだ。 「そろそろ出る」 とっくに準備を終えていたセントはクレッセを急かす。 「ああ、今行くよ」 弦楽器を背負って、名残惜しい部屋をあとにした。 「当宿をお楽しみいただけたでしょうか?」 シェナはエントランスで待っていた。先ほどとは違うのは、動きやすい服装だったこと、そして明らかに旅支度をしていた。 「嫌な予感的中」 「同じく」 「さ、行きましょう!」 「行きましょうって、どこへ?」 「決まっているでしょ? あなたたちの目的へ」 「でも、お店どうするの?」 「いいの、いいの。私の事は心配ない」 「すでにこの宿の前に俺たちを狙う奴いるんだけど」 「大丈夫っだって言ったじゃない」 シェナは元気よくドアを開けた。 そのとたん、たくさんの矢がシェナに向かって放たれた。しかし、シェナの周辺には一本も刺さらなかった。マントで全て薙ぎ払った。そして逆にシェナが放ったのは無数のナイフ、それも食事に使う肉料理用のものだった。 「すげえ」 「......」 シェナの行動に驚きつつもクレッセは弦楽器をセントに渡す。無言でそれを受け取るセント。少しだけ弦をつまびいた。
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