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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
読み返すと、不味い事になってた。 「魔族の中にはいたずらで人を殺すのはいない」 「人間の中にはいろんな理由で人を殺す人がいる」 だめだ、とブロードは思う。このイリンダという女は自分が人を殺すまで放してくれないだろう。 「とにかく、ごめんだ」 彼はドアに向かった。そしてドアを壊した。いつもの通りの『壊す』という魔法。彼がよく使っている。しかしドアは壊れなかった。 「無理だ。それは魔法で壊れない」 「なら」 蹴飛ばした。ただの蹴りではなくこれも魔法で強化しているが、ドアはびくともしない。無意識に舌打ちが漏れた。 「物理的にも強くしている」 「誰が絡んでいる?」 イリンダが顔をゆがめた。 「何故、そう思った?」 「でなきゃここまでしないだろ? グオンの野郎が絡んでいるのも気になる。全部聞いてやるから答えろ」 壊れないドアに背を向けて、ブロードは改めてイリンダを見る。美しく気丈だと思っていたが、だんだんと幼くか弱く見えてきた。それは自分が魔族というわけのわからない存在に成り下がったからなのかもしれない。 「話す。答える。だから、聞いてください」 彼女は側の椅子に腰掛ける。ブロードも近くの椅子に腰掛けた。それを見て彼女は話し始めた。 「事の始まりは五年前のことだ......です」 「言い易い方でいいよ」 無表情でブロードが言う。 「突如この学校はモルベルドという男に支配された。学校の経営が変わるのは珍しいことじゃない。しかしモルベルドは私服を肥やすためだけに経営を続けている」 「......そのモルベルドを殺せっていうのか?」 「いや、モルベルドごときなら私でも可能だ。あなたにはモルジブドの用心棒だ。おそらく魔法を使えるのだと思う」 「魔法、ねえ......」 ならばあのドアは誰が強化させたんだ? とブロードは思う。 「ところで、ここはなんの学校なんだ?」 「メイド育成学校だ」 聞くだけでモルベルドがどうやって私服を肥やしているのかわかる。だが、ドア強化とつながらない。 「そういえば、さっきやって来た泥棒らしいヤツ等は?」 「それは、あなたを確保したからだ。やつらはあなたを『腐らない死体』として研究所へ売ろうとしていたからだ」 「......ふうん」 本当に面倒なことに巻き込まれた。
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