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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
気温はそれほど高くはないのですが、湿度が高い。 「補習」 担任は静かに言った。それを聞き逃すものはいなかった。なぜならこの田中学院高等部二年A組にて大変な事態が起きてしまったからだ。 時間は少しさかのぼる。通信表を皆に配り終わったときだった。皆通知表を開いて苦い顔をしている。 「はい、皆さん、これから大事なお話があります」 A組担任赤川清は落ち着いていた。 「皆さんの一学期の成績が非常に悪かったので、私も非情にならざるをえません。よって、皆さんには……」 しいんと教室は静まり返っている。 「補習」 ここで一旦言葉を切る。 「を、受けていただきます」 「先生」 「はい、倉本さん」 「私、全国大会に向けて合宿とか合同練習があるのですが」 「部活の方は部活顧問に掛け合っています。それぞれ個別にスケジュール表を配りますのでその通り登校してください」 「先生」 「はい、鈴木君」 「俺、明日からばあちゃん……いえ、祖母の田舎へ行かなければならないのですが」 「知っています。スイカ畑を手伝わなければならないのは御両親から伺ってます。鈴木君には特別に作ったドリルがありますのでやってきてください」 「先生、俺も行かなきゃダメなんですか?」 「おっと、岡崎君。確かに君は成績は良いのですが、連帯責任と言うことで来てください。今回のことは私も非情にならなければならないので。明日から夏休みではありません。夏期補習会です。特別な理由がない限り登校していただきます。では、皆さん、良い夏休みを……あっ」 赤川清は口を滑らせた。もちろん、皆これを聞き逃さなかった。なので、次の日補習会に参加したものは誰もいなかった。
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