気まぐれ日記
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2003年07月03日(木) 誤字が多い

 変換してそのままってあるんですよ。急いでいるときってなんか変換できません。ごめんなさい、いいわけです。暇なときにでも直します。夏目編、今週で終わりませんね、きっと。

 「じゃあ、そのうち伺いますね」
 おかゆと、卵味噌がのった盆を机にのせ彼はありがたく食べることにした。
 「ずいぶんと本があるんだね」
 本も一種の嗜好品である。書物の代わりにネットなどで調べたほうが断然早く、安上がりである。
 「曾じいさんの本なんだ。昔はネットもあいまいだったからね」
 井上が本を見回す。古い伝承の本、昔の歴史の本、世界各国の本も多い。ただ、どれもみな古く、ばらばらに並べられている。
 「妖精の本? 神話を考える? 民俗学者というのはこういうものを調べるのかい?」
 「それは小説用だよ。でも。論文書く時にも使っているしね」
 「トーマ様は物知りだからなんでも教えてくれます」
 セリナはうれしそうに言った。
 「セリナは、妖精が宿ったみたいだね」
 「妖精が宿る?」
 「日本で言えば、ツクモガミかな。魂がこもるというか、なんというか。セリナはなんだか人間くさくてね」
 「たしかに、セリナは普通のドールじゃないからね。フェアリードールか……」
 「妖精人形……」
 「新しい商品名にしようかな」
 「売れるといいね」
 「ああ、売れなかったら大変だからね」
 食べ終えると井上は帰ってゆき、夏目は片づけをセリナに任せた。
 「バイト先に電話しないとね」
 夏目が電話はめったに使うことがない。だからいつも基本料金くらいしか払ったことがなかった。
 受話器を取ろうとした瞬間、電話は鳴った。夏目は少し戸惑ってから受話器をとる。
 「もしもし?」
 「ああ、夏目さん。あたし、美幸ですう」
 きんきんとした声が受話器から漏れた。思わず夏目は耳から放した。
 「なんだ、天藤さんか」
 「なんだって、ひどいですう。あ、明日うかがってよろしいですね」
 「明日?」
 「締め切りですう」
 「あ、やべ」
 「やべって、原稿できてないんですかー?」
 「……いや、その、もう少しと思っていたけど、風邪ひいちゃって」
 「いやーん。お大事にです。でも明日はうかがいますう」
 美幸はそれだけ言ってがちゃりと切った。
 「……」
 「トーマ様、誰からですか?」
 「ああ、編集部の天藤さん。明日来るって」
 セリナが差し出した体温計を脇にはさめ、夏目はため息をついた。
 「ああ、もう今日はできないな」
 バイトに断りの電話を入れる。人は余っているから一週間来なくていいと言われた。
 「どうしますか?」
 体温計を取り出す。熱はまだ少し高い。
 「寝るよ。お休み、セリナ」
 「おやすみなさい、トーマ様」
  


草うららか |MAIL

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