気まぐれ日記
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2003年07月01日(火) 一ヶ月だ

 一ヶ月たちました。今月もがんばるぞっと。今日はちゃっちゃっと終わらせて寝ます。

 井上は週一回は夏目を訪れる。なにかとデータが必要で、上司の山田もせかしているためだった。
 「今日は井上さんがきますよ、トーマ様」
 セリナに起こされて夏目は起きた。夜間のバイトのため、いつも昼間まで寝ているのだがその日は早めに起こされた。
 「おはよ、セリナ」
 「おはようございます。トーマ様。いつもの、ですか?」
 「ああ、いつものね」
 いつもの、夏目用のコーヒーをセリナは毎朝入れる。それがだいぶ板についてきた。しかし、たまに、普通のコーヒーを夏目に出すことがある。夏目はそれでも、黙って飲んでいる。それを井上に話したことがある。彼は大変驚いた。
 「ドールは一度覚えたら、間違うことはないはずなんだが……」
 さらに、セリナは散らかった夏目の部屋の片づけをした。教えてもいないのに。これも井上に話すと、ありえないと言った。当初は驚くことばかりだったが、一ヶ月もたつと落ち着いていた。セリナは今では普通のドールのようにかいがいしく世話をしてくれる。ただ、いまだ夏目をマスターにした原因は不明であった。
 「今日は、トーストにしますか?」
 「ああ、頼むよ」
 セリナは夜、充電のために寝る。そのため行動時間はほとんど夏目と同じである。
 「あ、今日もリュウノスケさんが遊びに来ましたよ」
 「あっ、ほんとだ」
 ベランダをあけると、野良猫がひょっこり入ってくる。夏目は耳がいいが、セリナはもっと良い。まあ、ドールとして当たり前だが。夏目が猫を抱き上げた。
 「お前、最近よく来るな? えさがないのか?」
 キャットフードなどないので冷蔵庫からチーズをだして一切れやる。猫は加えるとさっと、夏目の腕をすり抜けて床に降り立ち、ベランダから出て行った。
 「つれないなあ」
 リュウノスケは夏目が勝手につけた名である。彼は迷い猫をみな、リュウノスケと呼んでいた。深い意味はなく、昔飼っていた猫がその名前だったからだ。
 「あ、このチーズ、そろそろやばいな」
 「それ、食べますか?」
 「オムレツかなんかにいれてくれないか?」
 「はい」
 そして、見事に崩れまくったチーズオムレツがテーブルにあがった。
 「……」
 夏目が手本だとそうなるのだった。だからセリナの料理は上達しない。
 「料理番組でも見せるかな……」




 
 
 


草うららか |MAIL

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