いっそのこと、水溜まりの中を泳ごうか。 いっそのこと、水溜まりを飲み干してしまおうか。 水溜まりが目の前にあり、僕はそれを避ける。 濡れない様に、濡れない様に、それを避けていく。 濡れたズボンを乾かすのが面倒で、だからズボンを濡らしたくはない。
濡れたズボン、乾かせばまた乾く。 全てのものは、いつかは乾く。 乾けばまた、濡れてしまえばいい。 そう、濡れるなんてこと、どうってことない。 むしろ、それが何かを物語る。 全ては、御伽噺のように優しく語る。 それは、後のことである。
やっとここに来たんだと、そう実感したとしても・・・ それになんら意味はない。 そこにいるからといって、大したことではない。 しかし、それはまるで今まで来た道のりのしおりの様で ひとまず休憩を取る時にするようなこと。 振り替えれば、そこには長い道が出来ていた。 他の誰がこんな道を作れたというのだろう? こんな無茶な道、僕にしか作れなかったろう。 その一つ一つのくねりが、今の位置に続き それが紛れもない今までの姿。 今までの道は、これからの道へと繋がっていく。 前にいく理由などないことに、僕は気がついた。 なぜもっと早く気がつかなかったのだろう。 前しか見えないから、前にいくのだ。 後ろに見えるのは、もはや虚像の世界。 今にとってそれは、幻の世界。
―思ったよりも、水分が含まれている。―
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